発声時喉頭の位置が高い場合『ハイラリンクス』とは?そのメリットとデメリット

※この記事は2013年9月に公開したものを新たに書き直したのもです。

発声の良し悪しを語るときに大きな指標となるのが喉頭の位置ですが、この位置が高い場合あまりよろしくない状態になっている事が多いため、健康的且つ効率的な発声を目指す場合NGとされています。

ここではその喉頭の位置が高い発声の状態、ハイラリンクスについていろいろ解説していきます。

参考記事 発声時喉頭の位置が低い場合『ロウラリンクス』とは?そのメリットとデメリット

photo credit: &y via photopin cc

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まずなんで喉頭の位置高いとダメなのか?

身体のメカニズム的にちょっとよろしくないんです

何かを口に入れて飲み込む時、喉仏が顎の下辺りまでグッと上がりますよね?男性は喉仏が出っ張っているので触ると完璧に分かりますが、女性はこの部分が小さく、人によっては触ってもほとんど動きがわからないかもしれません。

この喉仏が上がっている状態が喉頭が上がっているといえるのですが、この時喉の中ではどのようなことが起こっているか?この部分が発声にとってとても重要な要素なんです。

喉頭が上がっている状態というのは喉頭蓋という喉の組織を動かすときに起こります。この喉頭蓋というのは口から入った飲食物を食道の方に流すため気管(声道)に蓋をする役目があります。

つまり~?そうです蓋されてると声帯で出来た声の道に大きな壁ができてしまう状態です。

これではせっかく声帯で出来た声がすっきり口から出ることが出来ません、そんな大きな障害がある状態で歌い続ける事が果たして声に対して得策でしょうか?

絶対そんなわけないですよね、道はすっきり邪魔は少ない方が良いに決まってます、だから喉頭が高いと良くないというか健康的な発声は難しいということになります。

ちょっと余談ですが・・・

上で書いたように食べたもの飲んだものが直接声帯のある気管に入ることはありません、そういった事が起こると人間咳き込んでそれらを出そうとするんですね。

なのでこのブログでも何度か書きましたが、飲み物食べ物が直接声帯に作用することはありえません。

烏龍茶は油分を落とす→声帯にかかって油分が取れる→振動しにくくなるからだめ!

とか思っちゃってる方が多いのですが、そんなことありません。身体に吸収されていろんな部分に作用した結果声帯にもその影響が起こるというだけで、飲んだもの食べたもの声帯にバシャーっていうことではないんです。

なので飲むものも食べるものも直接声帯には関係ありません、のど飴の成分が直接声帯に作用すると思っちゃってる方結構多いです。

ただ身体に作用した結果声に対して良くないものもあります、お茶やコーヒーは利尿作用があり体から水分を多く奪ってしまう可能性があり、その結果声帯も乾きやすくなることは十分にあるし、乳製品を取った結果痰が出やすくなり声が絡みやすくなるということもありえます。

発声に重要な共鳴にも影響してきます

咽頭共鳴が削られてしまうこともよくないんです

声帯で出来た声が響いていろんな部分に共鳴して最終的に口から出て行くわけですが、その中で一番大きな共鳴腔が咽頭部分なんです。

その咽頭共鳴が喉頭の位置が上がってしまうと十分に響く場所がなくなってしまい、せっかく広い共鳴腔なのにその広さを十分に使えず豊かな音色になることが出来ません。

咽頭共鳴は主に声の低く豊かな倍音を司っていますが、その部分が削られるとどうなるでしょう?

そうですキンキンした金属的な響きが非常に強くなります。これがハイラリンクスの発声特有のキンキンしたうるさい声質になる大きな原因です。

また所謂ミックスボイスを作っていく場合、この共鳴腔を上手に移行していき咽頭共鳴から離れていく必要がありますが、このハイラリンクスの場合それを無視している状態です。

どういうデメリットがあるのか?

ガッツリ上がってしまうといろいろと良くないことが・・・

上で書いたようにそもそも声の通り道に障害物が出来ている状態ですので、声が遮断されてしまうというのが一つ。

そしてその状態になると本人が思っているより呼気が効率的に声に反映されていないので、どうしても必要以上に呼気を吐きがちになります。

これは喉頭が上がれば上がるほどそうなっていくので、徐々に声を大きくしないと出しにくくなります。

そうなると負の連鎖で

①声が思うほど出てない→②もっと息を吐かなきゃ!→③その息に耐えるため声帯をギュッと閉じる・・・①に戻る

ということが起こってきます、こうなると声帯にも必要以上の息が辺り、掠れやすく枯れやすい声になり、それが慢性的になると声帯によろしくない出来物ができたりします。

なので発声時にどうしてもググっと喉頭の位置が上がってしまう方は、とりあえず下げて下げて声を出す練習をしたりします。

ではこの状態にメリットはあるのか?

トーンとして上手く使いこなす人もたくさんいます

上で書いたようなガッツリ上がってしまい、極端に発声の足かせになっている場合を除けば声にそこまで負担をかけるものではないのでそのトーンで歌うシンガーも多くいます。

上手に使うと音色が少しエッジの効いたキンキンした音になるので、適正に使うと激しめの音楽とよく合う声質になります。

またボイストレーニングの初期段階では高音発声のプロセスを一時的に体感するためにわざとこういう発声に仕向けることもあります。

上でちょろっと書きましたが、ミックスボイスを作っていく過程で共鳴腔の移行をしなければいけませんが、このハイラリンクスの状態は同じ共鳴腔に居続けて発声するので、やることが一つ減って難易度がグッと下がります。そして喉頭の位置が上がっている状態は声帯を伸ばして薄くするということが容易な状態なので、尚更高音発声がやりやすくなります。

まずはこういう状態でもいいので高音発声時の声帯の状態などを体感するために使用したりします。

ただし!あくまで一時的なツールです。ある程度高音を発声する体感が分かればすぐにこの状態をやめていく必要があります。何度も書いているように効率的な発声という面では明らかに声をロスしているからです。

おわりに

何度も書いたようにこの状態の声は一時的な練習のツールだったり歌唱時の装飾です、ずっと出してると声帯にも聞き手にもあまり好ましい事になりません。

そして気づかぬ内に喋ってる声ですらこの状態になっている方も結構いらっしゃいます、この話はまた記事にしようと思っていますが自分では中々気づけなかったりするので、どうしても高音発声時キンキンするだとか細くなるとか鼻にかかるなどの症状がある場合こういう状態になってないか疑ってみてください。

そんな感じで今回はここまで!

参考記事 発声時喉頭の位置が低い場合『ロウラリンクス』とは?そのメリットとデメリット