- 音感がないからスケールだと上手く発声できない
- スケール練習は面白くないから曲だけ歌って練習したい
- 歌が上手くなりたいのだからスケール練習は意味がない
上記のような理由でボイストレーニングってスケール(音階)練習を絶対にやらなきゃだめなの?曲をたくさん歌うだけで練習になるんじゃない?と思っている方が多くいらっしゃいます。
しかし歌が上手く/思うように歌えないと悩んでいる場合、その曲を延々と繰り返し歌い続けるだけではほぼ100%練習になりません。
この記事ではスケール練習をする意味となぜ歌い続けるだけでは練習にならないのか?ということに関して解説していきます。
曲とスケールの難易度の違い
発声の状態に応じて効果や難易度を調整できるようにデザインされたスケールと、ただただ芸術として良いものを表現しようとした曲では、歌うとなるとその難易度は雲泥の差になります。
長年ボイストレーニングを指導し、自分でも実践してきた身としては、スケールよりも巷で簡単!歌いやすい!とされている曲の方が何十倍も難しいと感じます。
- 高音/低音部分が出せない
- 思い描く音色の声で歌えない
- メロディーに声がついていけない
例えば歌いたい曲を歌おうとするときに、上記のような悩みや現象が起こっている場合、その曲だけを歌いまくってなんとか歌えるようにしようと練習するというのは、普段ろくに運動していない人がプロ野球選手に混じって試合をして活躍したい!と言っているのと同じくらい無謀です。
こういった場合に必要なのは曲を歌いまくってその曲に対応できるようにするボーカルトレーニング的な訓練ではなく、スケール練習を含めたそもそもの発声能力を向上させるための訓練、つまりボイストレーニングを地道に行う必要があります。
スキルの向上に必要なのは『絶妙な難易度の設定』
ボイストレーニングで訓練される発声だけに関わらず、スキル向上に必要なのはぎりぎりクリアできる練習を積み重ねるということです。
全く手も足も出ない練習を闇雲にやってもほとんど意味がありません。そういう練習の仕方を続けていると、スキルアップするどころか、新たに癖や固着ができてしまい練習しているのにどんどん歌いにくく/発声しにくいという最悪な状況に陥ります。
当たり前といえば当たり前です、運動不足の人がプロ野球選手の中で試合をし活躍しようと躍起になると、どこかしら身体が故障してしまうというのも想像に難くないでしょう。
そういった無謀な練習にならないために、スケールによって適切に難易度を調整しその時々にあるギリギリ超えられるハードルを着実にクリアしていくのがボイストレーニングです。
参考 練習の難易度について
まずはスケールで難易度を調整する
ボイストレーニングの段階に応じて、スケールで難易度を調整します。この難易度はたとえ同じスケールを使ったとしても喉の状態や発声の練度によって大きく変わります。
ボイストレーナーは生徒の状態やレベルに応じて、適切にスケールを選択して練習の難易度を調整しつつ処方します。
この適切なスケールの選択が難しいということが独学でのボイストレーニングで効果が出にくい要因の1つです。ただ闇雲に知っているスケールで練習すればいいってものではありません。
喉や発声の状態によっては、繰り返すと余計に癖や固着を増長させてしまう可能性もありますし、あまりにやりやすい、つまり簡単なスケールばかり使っていても、スキルは向上しません。
まとめ:歌うのは状態がそこそこ整ってから
- 生徒が曲を歌う
- トレーナーが聞いた上でアドバイスをする
- アドバイスを踏まえて生徒が歌う
- 以降2~3を繰り返す
未だにボイストレーニングと掲げているのに上記のようなレッスンをしている所が多くあります。そういったレッスンでどんどんと上手くなるのであれば何も問題ありませんが
- 歌える曲の幅が広がらない
- 悩みの根本は変わらない
- 練習した曲以外は全然対応できない
続けても上記のような状態なのであれば、それは単純に練習した曲を今の喉の状態でなんとか歌うことが上手くなっただけなので、発声のスキル自体はほとんど向上していないということです。
ただ練習した曲だけが上手いという状況を抜け出すには、今の貴方の状態でクリアできる課題を見つけて、それをどんどんとこなしていくという地道なボイストレーニングをする必要があります。
今回解説したようなことに悩んでいる場合は、ぜひボイストレーニングをしてくれるレッスンを受けてみてください。
やることは地味で地道ですが、徐々に喉の機能自体が向上するのを感じられるはずです。