今回はタイトルの通り、よくこのブログからも質問を受けたり、クライアントさんからも結構な頻度で質問されることが多い
- 自室や風呂だと良い感じに歌えるのに、カラオケだと思うように歌えないのはなぜ?
という疑問に関して、ボイストレーナー目線で解説してみようと思います。
いくつか原因であろうことや、改善方法があるので、出来る範囲で試していただくと、もしかするとかなり歌いやすい状態を作れるかもしれません。
記事を読むのを面倒くさい方向けに、最初にこの記事の大まかなまとめを書いておきます。
この記事の大まかなまとめ
- カラオケで歌いにくい精神的な要素
- 多人数でのカラオケはなんだかんだ緊張する
- 一人カラオケでも『歌うぞスイッチ』が入ってしまう
- カラオケで歌いにくい環境的な要素
- カラオケは様々な要因により自分の出した声が聞こえにくい
- 改善するためのには?
- 自分の声を聞き取りやすくする
- ミュージックとマイク音量を調整する
- マイクを持ち込んでみる
- ボイストレーニングをする!
カラオケで歌いにくさを感じる2つの要因
カラオケでの歌いにくさを大雑把に2つに分けると、1つは精神的な要因、もう一つは環境的な要因で起こると考えられます。
多くの方はこの2つの要因が複合されることによって、自室やお風呂などの歌いやすい「めっちゃ声出てるや~ん」って環境と、カラオケの「なんか声出しにくいな・・・」って違いを生みだしています。
カラオケだと歌いにくい精神的な要因
この精神的な面からくる歌いにくさも、要因が主に2つに分けられます。
緊張による歌いにくさ
1つは単純に緊張するからということです。多人数でのカラオケの場合、めちゃくちゃ場馴れしていないと、ほとんどの方は緊張するでしょう。
いくら歌うことが好きで、何らか歌の練習していたとしても、それを人の前で披露するというのは非常に緊張するものです。
この緊張がいつもリラックスして歌えている状態との、大きな乖離を生む要因の1つでしょう。部屋やお風呂で歌っているときは全く緊張なんてしていませんから。
歌うぞスイッチによる歌いにくさ
2つ目の要因は、少しボイストレーニング的な要素が含まれますが、多くの人は歌う際に「歌うぞスイッチ」がオンになります。
この「歌うぞスイッチ」は、過去に私がレッスンを受けた際に指摘された経験から、今では勝手にそう呼んでいるだけのものですが、これはその人なりに歌うぞ!って意識した際に身体や喉に起こる緊張や癖の表出です。私が色々な方とレッスンをして感じるのは、このスイッチは
- マイクを握る
- オケが流れる
といった状況によりオンになる方が非常に多いです。
これが自室やお風呂でリラックスして、つまり「歌うぞスイッチ」が入っていない状態で歌うときと、カラオケに行って、この場合一人でも多人数でも同じです、「さぁ歌うぞ!」と思って声を出した瞬間にスイッチがオンになり「あれ・・・?」となり普段とのギャップを強く感じる要因だということです。
この2つが時には片方だけ、時には両方起こることによって「カラオケだとなんか歌いにくいんだよな・・・」と思う要因になります。
カラオケだと歌いにくい環境的な要因
次は環境的な要因についてです。この環境要因については様々複雑に絡み合っているので、これ!って特定することはできないのですが、いくつか解説していきます。
自分の声が聞き取りにくいことによる歌いにくさ
自室やお風呂だと歌いやすいというその環境の特徴を超簡単にまとめると
- 自分の声がよく聞こえる(声以外の音が少ない)
- 適度に反響して自分の声が増幅される
という要素が大きいと思います、対してカラオケはどうでしょうか?
多くの場合1の要素が大きく削られていることが多いと思います。個室になっているとはいえ多くの店舗では廊下にはかなりの音量でBGMがかかり、その音をかき消すためにそれぞれの部屋でミュージックもマイクの音量もガンガンに上げている状態です。
部屋の反響具合だけでいえば、カラオケボックスの部屋も自分の部屋もそう大きくは変わらないと思いますが、それ以上に周りからの騒音が大きく、自分の声はかなり聞き取りにくい状態でしょう。
これらの影響で、普段の発声している感覚では、なんだか声が出ていないように感じ、がむしゃらに声を大きくしてしまう。そうすると喉のバランスがおかしくなり、より声が出しにくい、よってもっと大きくする・・・という負のスパイラルに陥る。
これが自分の声が聞き取りづらい環境で生まれる歌いにくさの要因です。
機材の調整による歌いにくさ
次にカラオケボックスにある機材についてです。この機材も少し癖があったり、調整を間違えると単純に歌いにくさに繋がったり、慣れ親しんだ環境との乖離を生んでしまう要因になります。
マイクについて
カラオケボックスで常設されているワイヤレスマイクというのは、音楽スタジオやライブハウスで使用されるマイクと比べると周波数特性、簡単に言えばマイクが拾う音の幅が狭くなっています。
多くの場合低音域がカットされているので、マイクを通すと「なんか声が軽い?」とか「いつもより細く聞こえる・・・」という聞こえ方になりがちです。
また小さなスピーカーから自分の声とオケが一緒くたになって発せられるため、より自分の声がいつもの調子で出ているかがより分かりづらくなります。
各音量バランスについて
マイクとオケの音量バランスが相当上手く調節できないと、ほとんどの方は歌いにくさを感じるでしょう。
当たり前にオケの音量が大きすぎると、自分の声が聞き取りづらくなるし、かといってマイクの音量を上げすぎると当たり前にハウリングしやすくなります。またそもそも自分の声が必要以上に大きくなっている状態というのも歌いにくさを感じる要因になります。
自分の声が聞き取りづらくても、大きくなりすぎても「あれ?」ってなるということです。
またカラオケには、気持ちよく歌うには不可欠なエコー機能がありますが、これもかけすぎると声の輪郭がぼやけすぎて歌いにくくなるし、全くかけないとカラオケボックス程度の部屋の大きさだと、あまりに声の広がりを感じなくなるため、これも歌いにくさに繋がります。
カラオケでの歌いにくさを改善する方法
ここまで様々なカラオケになると歌いにくくなる要因というのを解説してきましたが、ここからはその歌いにくさを軽減していく方法について解説していきます。
まずは環境的な要因から歌いにくさを軽減できないか考えてみましょう。
1:自分の声を聞き取りやすくしてみる
ここまでに解説してきた、歌いにくいと感じる要因の1つである、自分の声が思うように聞き取れないという部分を改善してみましょう。
- 手のひらを耳の裏にかざす
- 片耳を指で塞いでみる
周りの音がうるさくて自分の声が聞こえにくい場合は2の方法を、1の方法は環境音やノイズと自分の位置や方向によって違いますが、上手く噛み合えばかなり自分の声が聞き取りやすくなるはずです。
1の方法は今その場でやってみても効果が分かると思います。分かりづらい場合は両手を耳の後ろにかざして発声してみてください。相当自分の声が大きく聞こえるでしょう。
歌う時にずっと耳に手をかざしたり塞いでいるのも、傍から見たらおかしいので、歌っていて難しいと感じる部分や「あれ?」と思った時にやってみてください。もしかしたらリカバリーできるかもしれません。
ちなみにこれはカラオケだけに限らず、なんかちょっと歌いづらいとか声が上手く鳴らないな~と感じたときにやってみると、スムーズに発声できるようになったりするのでお試しあれ。
2:機材を調節する/変えてみる
もう1つは機材の調整や、それを変えるという方法です。
ただこの方法は、人により歌いやすさが結構違ったりするので、何度か1人でカラオケに行き、ちょうど良いセッティングを探る必要があります。
調節のポイントとしては、要因の部分で解説しましたが、当たり前にミュージックの音量が大きすぎたら自分の声が聞き取りづらくなり、逆にマイクのボリュームを上げすぎて、自分が意識してコントロールしている以上の音量になりすぎても、大抵歌いやすくはなりません。
ある程度リラックスして声を出して、それが自分の耳に帰っていくるときに必要十分な音量になるぐらいにマイクのボリュームをコントロールしてみてください。
マイクを変えてみる
上でも書いたのですが、そもそもカラオケボックスに常設されているマイク自体が声をそのまま拾ってくれるような特性じゃないことが多いので、マイクを自分で購入して持ち込んでみるのも一つの手です。
実際にスタジオやライブハウスなどで使用されているマイクを使ってみると、かなり大きな変化があると思います。
しっかりしたボーカル用にマイクであれば、カラオケに常設されているマイクよりもハウリングしにくいので、マイクのボリュームも上げやすいです。
比較的安いわりに普通に使えるボーカルマイクとして有名な↑のBEHRINGERのマイクと、それをカラオケ機器に接続するケーブルを買えば、カラオケ機器本体にジャックが付いている場合、挿すだけで高品質なマイクを使用できます。
別に買わなくてもマイク/ケーブルは持ってるという方はどちらか片方だけ購入すればカラオケでも使用できるかもしれません。
ただカラオケボックスで使用できるのはダイナミックマイクです、コンデンサーマイクは電源が必要となるためケーブルを挿すだけでは使用できないのでご注意ください。
- マイクを持ち込んで使用できるかはカラオケの機種や店舗によって違います、使用する前に必ず店舗に確認してください。
3:ボイストレーニングする
この方法だけめちゃくちゃ時間がかかりますが笑、どんな環境でもある一定のレベルで歌えるようになりたいのであればおすすめです。
効率よく発声出来るようになれば、楽に声量を増やすことも難しくなくなります。また声の倍音構成をコントロール出来るようになると雑音に紛れないような発声も可能になります。
それに加えて、例えば高い音域になると声を張り上げてじゃないと出せないといった状態だと、マイクをその最大音量時に合わせてしまうと、張り上げなくても出せる音域はかなり小さくなるし、逆に楽に出せる音域にマイクを合わせると張り上げたときに恐らくハウリングしてしまうでしょう。
つまりある程度、どの音域でも一定のボリュームで歌えないと、音響機器に通したときの調節は非常に難しいということになります。
カラオケでヒーローになりたい!という方は機材の使い方を学ぶと同時に、ボイストレーニングやりましょう!
まとめ:何度もカラオケに行き試してみてください
歌う上で環境が変わるというのは非常に悩ましいことです、これはカラオケに限らずライブをやっているミュージシャンであっても、誰もが一度は感じたことがあるはずです。
ただこういった事をクリアに出来るのは、最終的に『慣れ』と『安定したスキル』だったりします。
なのでスキルの方は各々しっかりと日々トレーニングを続けて鍛えていき、ある程度違う環境に慣れるため、出来るだけ多く普段とは違う環境で行動するというのが重要になるでしょう。