どれだけ効果的で正しいボイストレーニングを知っていても、それを継続できなければ意味がないということは、このブログでは何度か取り上げています。
参考記事 ボイストレーニングを継続することの難しさと続けるためのコツ
参考記事 ボイストレーニングの初期段階では『継続すること』に全振りするくらいで丁度いい
それでも未だにレッスンをしていると
- 時間が取れない時期になるとモチベーションが下がって徐々に練習しなくなってしまう
- レッスンを受けてから数日は練習するけど徐々にやる気がなくなってしまう
- そもそもボイトレに限らず、どんな練習・勉強も継続してできない
といったお悩みを相談されることが多々あります。
ということで今回も記事のテーマは「継続するコツ」として「練習内容を理解した上で練習しよう」ということをメインに解説してみようと思います。
『わからない』と継続しにくい
とりあえず動き出す、つまりなんでもいいからとりあえず練習を始める、というのは行動する際の腰の重さを軽減するのに有効なのですが『継続する』ということを考えると少し注意が必要です。
やろうとしている練習内容の意味や狙いを全く意識せずとりあえずやってみよう!という練習のやり方は、そのとりあえずの練習で効果がでている内は問題ないですが、練習内容が複雑になったり成長が徐々に鈍化していくにつれて継続しずらくなってくるはずです。
いきなり「家にあるものでチャーハン作って」と言われるのと「家にあるものでジャンバラヤ作って」と言われるのでは心理的な負担が違います。
チャーハンだったら「とりあえず冷蔵庫にあるもの細かく刻んでフライパンで卵とご飯で炒めりゃいいか」とよっぽど料理をしたことがない人以外はすぐに想像できますが、一方でジャンバラヤになると「なにそれどういう料理?どうやって作るの?何を入れるの?」とわからないことがたくさんあります。
人間の心理として「やることの意味や手順が分からない/知らない」ということは行動を妨げる原因になります。
チャーハンだったら面倒だったとしても「しゃーない作るか」になりやすいし、ジャンバラヤの場合は「いや・・・無理やわ・・・」になる確率が高いということです。
これはボイストレーニングとして、やろうとしている練習にも同じことが言えます。
いきなり練習メニューをこなそうとしない
これまでに意識的に声を出す習慣がなかった人が、毎日ある程度の時間をかけて発声練習をするようになれば、わりとすぐに変化を感じることになるでしょう。
しかしそのような状態がずっと続くわけではなく、ある程度の変化が起きた後、そこからさらに状態が変化するのはどんな喉の状態であってもそこそこ時間がかかります。
そんな中で自分が行っている練習の意味や狙っている状態がわからずに「とりあえずやっておこう」ということだけ考えているようだと前述の通り、徐々にモチベーションが落ちていきます。
そういった練習のやり方は
- こんな練習やる意味あるのか?
- こんな練習で上手くなるのか?
上記のようなメンタルになりやすいからです。
こっちのルートを避けるためにはやろうとしている練習を理解する必要があります。
練習の意味・やり方・手順を理解する
- 現状の何が問題なのか
- どういった方法で練習しするのか
- その練習は何をどうすれば正解なのか
最低でも上記3つの要素を、自分がやっている練習で考えて理解しておかないと、成長の停滞期には必ず「あれ?これなんのためにやってるんだろう・・・」となってしまうでしょう。
逆にこれらの要素を理解していれば、モチベーションが落ちていたとしても、練習することの腰の重さを最小限にし継続させやすくしてくれるはずです。
1. 現状の理解
1つ目の要素に関しては「地声を張り上げてしまう」とか「裏声が弱い」程度の理解だとあまり意味はありません。これは「ジャンバラヤは米を使った料理だ」とギリギリ知っているくらいの状態です、練習の継続を支えてくれるほどの理解ではありません。
根本的な問題と、それをどういう方法で解決しようとするのか?というのを知っておく必要があります。
例えば、前述のような「地声を張り上げてしまう」という症状が問題だとしたら、それを起こしているそもそもの要因は何なのか?ということです。
地声を張り上げるという行為にも原因はたくさんあります。内喉頭筋の操作に問題がある場合もあれば、外喉頭筋やその他の発声に関わるパーツが原因となっているケースもあります。
これらを理解しておかないと、どれだけ様々な練習方法を知っていたとしても練習自体に意味を見いだせなくなっていきます。
2. 解決方法の理解
現状の問題点が理解できたら、次はそれをどういう方法で改善・解決していくのか?ということが重要です。ここは練習方法そのものの話になってくるので、表面的にはたくさん知っているという人も多いかもしれません。
しかし重要なのは、起こっている症状に対して適した練習方法を選択できるか?ということです。
これも「地声を張り上げちゃうのが問題なら、裏声をたくさん練習しましょう!」とか「地声をなるべく小さく発声しましょう!」といった浅い理解では意味がありません。なるべく副作用がでないような練習方法の組み立てが必要です。
「地声の張り上げはなくなったけど、今度が地声がヘロヘロでしっかり発声できなくなった」みたいな一歩進んで一歩下がる練習ではなく、元々の癖や固着に影響されづらく間違いにくい練習はどういったものか?というのが重要です。
参考記事 間違いようがない練習と慎重さが必要が練習|日々のボイストレーニングで注意すべきポイント
3.正しくできているかの理解
1と2の項目を正しく理解していれば、それを踏まえての練習で何をクリアしていれば正解なのかは、自然とわかっているはずです。
練習の狙いとして絶対に外したくない要素と多少ブレていたとしても許容できる要素を知っていれば、練習への意欲も下がりにくくなります。
参考記事 ボイストレーニングをする上での『失敗』の設定|どれくらい許容するか
まとめ:歌は上手くなりたいけど練習は継続できない…という方はお気軽にご相談ください!
- 最初は上手くいってやる気満々でも、徐々に成長・変化は停滞していくよ
- なんとなくの理解で練習を続けているとやる気なくなったとき動けなくなるよ
- やる気があろうとなかろうと練習を理解していると行動しやすいよ、結果的に上手くなりやすいよ
この記事で書いたことを意識しようにも、ボイストレーニングと自分の喉に関する知見がなければかなり難しいと思いますので、歌は上手くなりたい、でも練習を継続できない・・・という方はボイストレーナーに頼ってください。
トレーナーから指導を受けて、正しい練習のやり方と理解を深めて、それを日々たくさん繰り返すことができれば、それがボイストレーニングとしてもっとも理想的な成長スピードになるでしょう。
余談ですが「ジャンバラヤ」は肉(鶏肉・ソーセージ)や野菜が入った炊き込みご飯みたいな料理らしいです。私もよく知らないので詳しく知りたい方は調べてみてください。