よく初回レッスンのメールにそれまで習っていたボイストレーニングで変化がなかった、または余計に声が出しにくくなってしまった、なので詳しそうなところ(うちの事)で色々と聞きたいという方が多くいらっしゃいます。
ということで今回はボイストレーニングを習おうとするとき、もしくは現状習っているという場合、これだけは知っておいたほうがいい事実をいくつかご紹介します。
ここに書いてあることをクリアできているレッスンであれば、レッスンを受けても全く変化がないとか、逆に声が出しにくくなるということはかなり減らせると思います。
1. 「裏声」を使って練習しますか?
裏声を使わないボイストレーニングはありえません
何度も何度もこのブログには書いていますが、どんなメソッドであれ、どんな教えられ方であれ、裏声を使わないボイストレーニングはボイストレーニングではありません。
声の機能の向上・回復させるには、裏声を使うというのは必須です。
最終的には憧れているシンガーの声みたいになりたい!あんなふうに歌いたい!という目的があったとしても、トレーニングでいきなりその声を出そうとするのは無理です。
その声に近づけるためにも、必ず裏声を利用してトレーニングすることになります。
ボイストレーニングと謳っているのに、トレーニング中一切裏声を出さない、もしくは出す時間がすごく短いという場合、知らぬ間にボイストレーニングもどきのボーカルトレーニングを受けてしまっている可能性があります。
2. 歌ってばっかりのレッスンを受けていませんか?
延々歌って上手くなるのであればボイストレーニングは必要ありません
「軽くリップロールやタングトリルをやって、適当にスケール練習をして、残り時間はカラオケ音源を使って細かい部分を練習してます!」
という方がよくレッスンに来られますが、これ↑ってもうボイストレーニングじゃないです。上で紹介した記事のボーカルトレーニングそのものです。
これを続けて「中々上手くならないな」となるのは当たり前です、真っ直ぐ歩くことすら難しい状態なのに、どれだけ早く100mを走れるかということをやろうとしてるということです。
そもそも狙った音色で狙った音高の声が出せないのに、その声で歌うことなんて当たり前ですが出来ません、1000%無理です。
まずはまともなボイストレーニングをして、声の機能を向上・回復させる必要があります。
3. 「腹式呼吸」で全てが解決すると説明されていませんか?
解決することもあればより悪化することも多いです
呼吸法自体には声の機能の向上・回復させる効果はありません、声の機能を安定させたりする効果はありますが・・・
なのでレッスンを受けていても、呼吸に関するトレーニングを半分以上して、声を出す時間は半分以下しかないのであれば、そのレッスンを続けて上手くなる確率はかなり低くなるでしょう。
そして呼吸法で声自体をなんとかしようとトレーニングし、その後不調になってしまった場合、それを改善するのはかなり骨の折れる作業になります。
それまで延々とやってきた呼吸法のせいで、声が全く動かせないという状態になる方がめっっっちゃくちゃ多いです。
ある特定の声の状態に限り、呼吸法に関連するトレーニングをやれば大きく改善することもありますが、それ以外の場合はプラスにもならないし、大半はマイナスにもなってしまうということを頭に入れておいてください。
まとめ:この3つをクリアできてたら『とりあえず』は安心
というか今回書いた3つすらクリアできてないのに、ボイストレーニング!と掲げてるところが多いのが非常に大きな問題なんですけどね・・・
そして今回書いた3つは本当に最低ラインです、人によってはこれらをクリアできているレッスンを受けていても、声が全く変化しない・・・ということも十分ありえます。
そんな時はもっと細かく喉のパーツを分けてトレーニングする必要があるでしょう、そうなると時間がかかります、大抵は年単位での改善になるでしょう。でもそういう細かいトレーニングをしないと改善しない場合も多々あるのは事実です。
しかしボイストレーニングというのは本来そういうものなんです、最後にフースラーメソードの最高指導者である武田梵声先生の非常に重要なツイートを紹介して終わりにしようと思います。
ボイトレをやる者の最大の誤解はボイスカルチャーの思想が欠落している事が原因だ。木の実がどれくらいの時間で生るかをしっかりと知る必要がある。1週間で実が生る!5分で実が生る!こういうキャッチコピーが出回っているのだよ。有り得んだろう。
— 武田梵声 (@takedabonjo) 2018年10月4日