年末にいろいろな方とカラオケに行く機会がありました。そこで
声量
という言葉の使い方その意味が少し履き違えられているように思いました。
またネットでの書き込みやお話しでも少し「んっ?」と思う事が多いのでここで少しおさらい意味も含めて解説しておこうと思います。
「声量があるor大きい」ってどういう意味?
よくカラオケに行くと
「俺声量やばいからうるさかったらごめんね?」
なーんて事を言う方がいますが、このような発言をする方は漏れなく
ただただ本当にうるさいだけ
の方がほぼ100%でした。
では『ただうるさいだけの声』と『声量がある声』はどう違うのか?少し科学的に解説してみます。
うるさい声とはどういう声?
単純に言えば
共鳴・共振がなく、呼気の圧力だけで押し出している声
という事になります。
そういう声は人間の耳には不快に感じる音を多く含んでいるので、聴いても心地よく思う事はなく長時間聞いていたいと思う声ではありません。
またこういった声の出し方は
強弱・大小・質感
のコントロールが出来ません。
特に高い音域では声を小さくすることが困難で、またそれ以上声を膨らませる事も難しい状態です。
声量がある声とはどういう声?
こういった声は所謂
バランスが取れて、適切な息の量でしっかり鳴っている声
という事です。
CT/TAのバランス、声門閉鎖のバランス、呼気のバランス、全てが整っているときちんとした声量のある声になります。
話し声のような共鳴・共振がきちっと起こっており、リラックスした声で低音から高音まで滑らかに繋がっている声です。
この声はコントロールが容易で、あらゆる音の増減や強弱が付けられ、質感も息を強めたり弱めたりある程度の幅がある状態です。
カラオケボックスでは計れません
最初に書いた『自分で声量があると思っている人』は大抵カラオケボックスという環境でそういった発言をします。
しかしカラオケボックスはあくまで
気持ちよく歌える部屋作り
をしています。
滅茶苦茶簡単に言えばお風呂と一緒です。
お風呂で歌うと良く響いて少し上手く歌えているような気がして気持ち良いですよね。カラオケボックスはあれと同じような環境です。
つまり誰でも、バランスが整っていない発声でも
声が大きくなっているように錯覚出来る
ように作られています。キンキンした押し上げて出すハイトーンでもある程度部屋に反響して聞こえます。
楽器と同じ環境でも声が通るのが本当の声量です
多くの場合楽器と一緒に演奏したとき、つまりバンドでもきちんと客席まで声が届けられるかが重要です。
電気増幅されたギターやベース、単純に楽器として音量が大きいドラムなどと一緒に歌ったときに
『うるさい声』は確実に他の楽器の音に埋もれます。
これは科学的にも証明されていて、簡単に言えばバランスの取れた発声をしたときの声の周波数は他の楽器と大きく被らずそれらの音を切り裂くように声が届きます。
しかしバランスを欠いたうるさい声はその周波数特性が他の楽器と被ってしまうため所謂
声が通らない
ような状態になってしまいます。
これらはクラシックミュージックでも同じです、オペラ歌手はバランスが整った発声だからオーケストラの音に埋もれる事無く声が届けられるのであって、別に腹式呼吸うんぬんで声自体を大きくしているわけではありません。
あなたの声は“本当に声量のある声”ですか?
二つの診断方法を書いておきますので、自分の声はただうるさいだけ声になっていないかよく聞いてみましょう。
- ブリッジを越えた音域でも、小さい声から大きい声へ小さい音から大きい音へスムーズに操作できるか?
- スタジオやライブで歌ったときに、声を意図的に張り上げる事無くリスナーに声を届けられているか?
客観的によーく聞いてみてください、これらがきちんと出来ていないと多くの場合人が聞いて心地良いと思える声にはなっていないはずです。
ということで声量というテーマで書いてみました。
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