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【こんな声出せますか?】第15回:倍音を強調した発声

参考音源付き記事
Image by Pete Linforth from Pixabay

前回、第14回の地声できることが前提になりますが、今回は倍音を強調した発声を練習してみましょう。今回の発声を元にして、ホーミーやホーメイといった伝統的な歌唱法や、Overtone Singingと呼ばれるより倍音を強調した発声に発展していくことができます。

ただ今回はあくまで、どういう喉の操作をしたら倍音が増幅され、聞こえ方が変わるのか?ということを体感するために練習します。

ボイストレーニング的には、こういった特定の倍音や鳴りを聞き取れるかどうか?というのが訓練を進めていく上で非常に重要で、聞こえないものは出せないし真似もできないので、耳を鍛えるという側面からもチャレンジしてみると色々と変化があるかもしれません。

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倍音を強調した発声(倍音唱法の種)

パターン1

  1. 喉頭の位置はなるべく高い位置の方が倍音が出やすい
  2. 発音は少し詰まったような曖昧な「イ」「オ」「ウ」
  3. 土台の発声ができたら喉や唇の形を変えながら音質の変化を探る

ポイントとしては↑の通りなのですが、記事冒頭にも書いたように、基本的に前回のようなしっかりと声帯が閉じて鳴りの強い状態じゃないと、そもそも強調するための倍音を作れないということなので、全く取っ掛かりが掴めないという場合はこれまでの地声系の発声が十分にできているかを確認しましょう。

このサンプル音源を聞いて「なんか音が変わったかな?」くらいの変化しかわからないのであれば、もしかしたら今回の発声を真似するのは難しいかもしれません。

明らかに鳴り、つまり倍音が変化しなんだか音が2つ聞こえる?と気づけたのであれば、あれこれ発声して探っていく中で参考音源のような特定の鳴りが強調される状態が見つけられると思います。

参考音源の再生環境によっては強調している倍音部分が聞こえにくくなっている場合もあるかもしれないので、スピーカーよりもイヤホン・ヘッドホンで聞くことをおすすめします。

参考音源では「イ」母音を喉頭を高くしながら発音して、そのテンションのまま徐々に「ウ」にするつもりで発声しています。

もしかしたら地声で喉頭の位置を高くしながら「ユ」と発音するような感じで探るほうが、上手く倍音が強調されるバランスが見つかりやすいかもしれません。

パターン2

喉や唇の形を変えて倍音構成を変えることができるようになったら、今度は舌も使い音高や倍音の出方に変化がつけられるかチャレンジしてみましょう。

参考音源では『オ』母音から舌を巻いた状態にして、硬口蓋(上顎の前方、硬い部分)に舌先の裏側を当てながら、主に唇の動きで音に変化を加えています。

極端に倍音を操作できるのであれば、参考音源と同じ母音や鳴らし方じゃなくてもOKです。声道や舌、口腔の形や大きさによっては全く違う発音や鳴らし方の方が倍音が出やすいかもしれないので、色々と試してみてください。

まとめ:原音じゃなく共鳴でも音色を変えられる

これまでこのシリーズでは基本的に狙った声帯の状態になるように、喉頭の位置を操作してみたり、息を吸いながら発声してみたりすることによって、様々な音色の声を探ってきましたが、今回のメインは共鳴のさせ方です。

もちろん、そもそも十分に倍音を作られる状態の発声が必要不可欠なため声帯の操作が重要じゃないわけではありませんが、音質にもっとも大きく影響するのが響く空間の操作です。

声帯の状態や振動のさせ方は大きく変えずに、喉頭の位置、舌、唇だけを動かすことができるか、そしてそうすることで大きく音質が変わり、その倍音の変化に気づける耳なのかどうか?ということが、ボイストレーニングを進めていく上で非常に重要になってきます。