このブログではこれまでも様々な発声練習に関する内容の記事を公開していますが、今回から網羅的かつ実際に練習として組み込みやすい記事のシリーズを書いていこうと思います。
毎日この記事を読みながら、音源を聞いて発声して練習するという使い方ができる記事なので、上手に利用してください。
第一弾としてボイストレーニングの核となる裏声/ヘッドボイス/ファルセットの練習を取り上げていきます。
あらかじめ過去に今回と同じテーマで書いた記事をまとめておきますので、この記事内でわからないことや上手くできないことがあった場合は下記の記事にも目を通してみてください。
ボイストレーニングにおける声区について
実際の発声練習に入っていく前に、まず少し座学的なことを勉強して、裏声の理解を深めておきましょう。
基本的に人間の声には2つの声区という区分分けがあります。これは発声に関わる喉の筋肉で大別されていて
- 声帯を引き伸ばす・開く筋肉
- これらの筋肉がメインで動いてできた声が裏声と呼ばれる
- 高音域を司るグループ
- 声帯を縮める・閉じる筋肉
- これらの筋肉がメインで動いてできた声が地声と呼ばれる
- 低音域を司るグループ
上記のようなグループに分けられそれぞれが担当している範囲が声区として分けられているということです。声帯への動作と音域の関連性が理解できない方は、単純に輪ゴムで考えてみてください。
輪ゴムを思いっきり引っ張って張力を強くすると、それを弾いたときの音は高くなります。そこから引っ張るのを緩めて張力を弱めていくと、弾いたときの音は低くなります。この物理的な原理がほぼ同じように声帯にも当てはまります。
そして担当している範囲の境目を換声点と呼びます。これにはいくつか呼び方があり
- ブリッジ
- ブレイク
- パッサージョ
- トランジション
なんて呼ばれたりしますが、私は換声点という呼び方に固定しています。
そしてこの換声点の位置ですが、これは男女で変わらずほとんどの場合E4~F4付近にあります。換声点という名前ですが、実際には個体差がある人間の声帯/咽喉に左右されるので、狭い範囲ながらも多少の誤差はあります。

鍵盤で表すと上記のような感じです、どうでしょうか女性の場合はほぼ100%の方が「こんな低い音域で地声と裏声の境目があるの?」と感じるでしょうし、男性の場合は「こんな高い範囲まで地声なの?」と思う方もいるかと思います。
この感じ方の違いは、それまでの喉の使い方、主に喋り方や歌う際の癖による違いが大きいです。
なぜこの範囲が換声点なの?ということに関しては、ここで解説するには少し難しいので、どうしても気になる方はレッスンにお越し頂き直接お聞きください。
ここまでで声区に関してはご理解いただけたと思います。そして今回は高音域を司るグループの筋肉群をより自在に、より強固に使えるようにするための練習をしていきましょうということになります。
ファルセット/純粋な裏声の説明
まずはファルセット・純粋な裏声の練習から始めていきますが、そもそもファルセットって?純粋な裏声って?普通の裏声とは違うの?と思う方もいらっしゃると思いますので、ここで簡単に解説しておきます。
上で説明した声帯を引き伸ばす/開く筋肉が “中心となって” できた声を大別して裏声やヘッドボイスと呼びます、そして声帯を引き伸ばす/開く筋肉 “だけ” を使ってできた声をファルセットや純粋な裏声と呼びます。
なのでより発声に関わる筋肉としては裏声/ヘッドボイスと呼ばれる声よりも、ファルセット/純粋な裏声の方が少ない/シンプルなので
- 声区を意識的に分けられるか
- 声帯を縮める・閉じる筋肉を意識的に使わないということができるかを、この練習によって測ることができます
- 声区が混合していないか
- この練習ができないと声帯を縮める・閉じる筋肉が勝手に混ざってしまうということなので効率的な訓練ができない状態ということになります
- 声帯を伸ばす動きの自在性・強度を高める
- シンプルな動きだけをさせるのでピンポイントで伸ばす・開く動きを鍛えられます
上記のような目的で利用します。
走ったり何かを投げたりという動作を強化する前に、まずは腕や脚を柔軟に曲げ伸ばしできるか、ということから始めるといったイメージです。
ファルセット/純粋な裏声の練習方法
- 発音は「フ」
- 「ウ」母音はなるべく暗く虚ろに発音しましょう
- 音域はB3~B4
- スタートはB4から半音ずつ下降していきます
- 音量は徐々に小さくなる
- 意図的に小さくする必要はないですが上手くできていたら大きくはなりません
- 息をフッと吹いて、それに声が付いてきてるくらいの感じ
ここで紹介しているスケール(音型)でファルセット/純粋な裏声を出すのが難しい場合は、まずは単音で練習してもらっても全く問題ありません。
というかトレーナーにファルセット/純粋な裏声を聞いてもらって出来てるよ!というお墨付きをもらっているような場合を除いて、鳴らしやすそうな音域を単音で丁寧に探りながら練習する方が確実です。
こんな感じで練習できたら良いよね!って状態を音源として載せているので、慣れるまでは単音や特定の音高を狙わずに鳴らしやすい音域で探り、慣れてきたら上記のようなスケールを使って音高を辿れるか試してみてください。
裏声/ヘッドボイスの説明
ファルセットの説明の際にも書きましたが裏声/ヘッドボイスというのは『声帯を引き伸ばす/開く筋肉郡』が中心となってできた声です。
ここで重要なのはあくまでも『中心となってできた声』ということです。
つまり低音域を司っている声帯を縮める・閉じる筋肉たちも割合に変動こそありますが動いています。その割合が換声点以下で発声される地声/胸声/チェストボイスと呼ばれる状態よりも明確に少ない状態を裏声/ヘッドボイスと呼びます。
逆に全く関わっていないのは先に練習したファルセット/純粋な裏声ということです。
裏声/ヘッドボイスを練習する目的としては
- 高い声に関わる悩みを解消できる
- 声帯を伸ばす・開く動きは声の音高調整を担っているため、ほとんどの人が問題となる高い声が出ない/曲の音程が合わないといったことは裏声を鍛えることで解消されます
- 声区を融合していくための下準備
- 割合的には少ないけれど声帯を縮める・閉じる動きも関わっているため、後々に両声区の筋肉たちを共同させるための足掛かりになります
- 声域全体に裏声の支配を広げる
- 声帯を縮める・閉じる筋肉だけで発声できる音域は狭いですが、伸ばす・開く筋肉主体での発声は換声点よりも低い音域まで広げることができるため地声の音域にまで裏声の筋肉を作用させることができます
上記のようなことが主になります。
裏声/ヘッドボイスの練習方法
- 発音は「ホ」
- 「オ」母音はなるべく暗く「ア」に寄らないように発音しましょう
- 喉頭(喉仏)を下げた方が裏声を出しやすい・維持しやすい場合も多いので、真似するのが難しい場合は意識してみてください
- 音域はA3~C5
- スタートはC5から半音ずつ下降していきます
- 初めは換声点付近からゴロッと地声になってしまうと思いますが、まずはそれが起こる手前まででOKです
- 音量は徐々に小さくなる
- 声帯を縮める・閉じるという動きは最小限なため低音域では音量は出ません
上記のような練習をしようにも、裏声の練度が低かったり、そもそも裏声の練習をあまりしたことがない方は3~4音くらい降った時点で地声にひっくり返るか、声帯を開きすぎてスカスカなファルセットもどきみたいな発声になってしまうと思います。
なのでこの練習もファルセットと同様に、まずは単音で練習してOKです。思ったように出せる音高の感覚や意識を丁寧に半音ずつ降ろしていきましょう。
まとめ:毎日のボイストレーニングにお役立てください
ここでは非常にシンプルな練習方法だけを紹介していますが、喉の状態や発声の習熟度によっては全くできなかったり、必要な練習の強度が足りていないということも当たり前にありえます。
自分自身で鍵盤を触りながら、あれこれ丁寧に探って、遊びながら練習できたら最高ですが、中々そんな風には日々練習できないと思いますので、まずはこの記事にある音源を聞いて真似してみようとチャレンジしてみてください。
今後もこういった日々のボイストレーニングに使える記事を制作していくつもりなので「こんな練習メニューの記事を書いてほしい」とか「この部分をもっと掘り下げてほしい」みたいな希望・要望がありましたらこちらのフォームからお気軽にお送りください。
無料のオンライン発声相談も受け付けております、お気軽にお申し込みください♪
