レッスンの時など生徒さんとお喋りしていると時々言われるんです「先生なのにレッスン受けるんですね」と・・・
そうなんです、未だにレッスン受け続けてます。
なぜ?と思われる方も多いようなので、少しその理由についてお話しようと思います。
photo credit: Leeds College of Music via photopin cc
理由1『自分自身の発声能力がまだまだ開発途中だから』
修行は一生終わりません
トレーナーとして最低限やっていける(ある程度健康的でNGパターンもデモンストレーション出来る)発声が整ってきたのがほんの最近の事なので、まだまだ改善の余地があるというか改善の余地しかない感じです。
なのでまだまだ私自身より圧倒的に経験も実力も豊富な先生方にレッスンして頂いているのです。
Twitterでもちょろっと呟きましたが、ボイストレーニングの主な成長への流れとして
- 気付き(よくない癖など足かせとなるものを認識してそれを抑制していく)
- 慣れ(癖を抑制しその正しい状態をデフォルトにする)
- 迷走(2の状態で慣れると今度はそこからまた新たな課題が出来て方向性を迷う)
基本的に正しい練習を続けていれば↑のような流れを繰り返して成長していきます。
未だに私自身このサイクルを繰り返し、レッスンを受ければその度新たに成長を感じ、同時に新たな課題がたくさん見つかります。
恐らくこれから私が訓練を続けていったとしても、このサイクルは死ぬまで終わらないんだろうな~と思っています。
そしてこれは発声に関わらず人間が身につけようとするスキル全般に言えることだと思います。スポーツのようなガッツリ身体を動かすものなら尚更技術を磨くトレーニングや動ける身体を維持するトレーニングもずっと現役でやっていくならば絶対に必要なことです。
理由2『自分自身の声は中々自分では診断出来ないから』
頭では分かっていても出来ていないこともあるしそれに気づけない
知識としてこうであれば声にとっては正しいとか科学的に見た時こうするとこう出るというのは頭にあるのですが、じゃあそれを全て意識して普段練習できているか?と言われたらはっきりNO!です。
出来てません、というか中々それが出来る人は少ないでしょう。私なんてまだまだ修行中の身ですので結構ぽっかり忘れてること多いです。
なので未だにレッスンを受けると先生のある一言で「あぁっ!!忘れとった!!」という感じで重要な事を思い出すことが多々あります。そして大抵それを意識したら物凄く歌いやすくなるということが一回のレッスンで確実に一回はあります笑
この感覚に関しては自分のフィーリングと合った先生とレッスンをしなければ分かりにくいかもしれません。
その人に取って足りない要素や余計な要素は分かっているけど、それをその人にとって1番明確に分かる言葉を選び伝えたりするのは中々難しいです。ましてや自分自身の声を聞いてそれをやるのは滅茶苦茶難易度高いわけです。
だから自分より経験豊富な方に聞いてもらい診断して頂くんですね?。
理由3『自分が教えるときの手札を増やすため』
こういう風に言われると分かりやすいんだ?という情報収集
理由2で書いたように1番明確に分かる言葉というのは人それぞれ違うもので、感覚も全く違います。だから伝える言葉は多く持っておくに越したことはないんです。
Aさんにはこの伝え方でガッツリ理解してもらえたのにBさんはあまりピンときてないみたい・・・なーんて事沢山の方のレッスンやれば当たり前のように大量にあります。
そこでじゃあBさんにはこっち!って感じで違う伝え方の手札があればもしかしたらそれでBさんに理解してもらえるかもしれない。その手札集めの面でもレッスンを受けています。
一人ひとり発声時の感覚やどう考えてるかは全く違ったりするので、私自身はこうだからこう教える!という短絡的な考えじゃあ生徒さんに全く伝わらないんです。
この思考は現在レッスンを受けられている方(私以外の講師でも)全員意識しておくと上達が早くなると思います。「先生はこういってるけど自分はそう感じない」で終わるんじゃなくて「だったらこういう意味かも?」という考え方が出来れば徐々に先生と生徒の感じ方や考え方がリンクしていきます。
そうなると声種が違っても、性別が違っても「あぁこれはこういう感じの意味だろう」というある程度の理解が出来ます。そうなるとレッスンの進度はグーンと上がります。
おわりに
ということでいろいろ書いてきましたが、ボイストレーニングで最終的に目指す場所というのは『ある程度自分の声を自分でメンテナンス出来る様になる』という部分だったりします。
ただ健康的かそうでないかの診断は自分で出来るようになりますが(実際私もレッスンを受けなくても極端に発声が崩れるということはまずありません)、そこからさらにパワーアップ!となるとやっぱり一人では難しいですね?
いつかは自分の声を自分で診断して必要な要素を明確にして訓練出来るようになれればいいんですが・・・道は険しいです笑
ということで今回はここまで!