普段から自主練習の際には必ず録音して、できれば頻繁に聞き返しながら練習してね~ということをこのブログでも書いていますし、レッスンでもよくクライアントさんにお伝えしています。
実際に狙った喉の状態になってさえいれば、出音は誰が発声してもある程度似たような音色に収束していくので「出音が良けりゃ何でも良し」という考え方で基本的には間違っていません。
しかしこの「出音が良けりゃ何でも良し」に固執してしまうと、狙った音にするためにめちゃくちゃな喉や身体の使い方をして、そしてそれを長期間続けていると、余計な癖や固着になってしまうことがあります。
最初期には大きな抵抗・圧迫感があることが多い
これまでにめちゃくちゃ偏った喉の使い方をしていて、頑固な癖や固着がある場合(というかボイストレーニングを始めたときは誰しもが多少こういう状態ですが)は狙った喉の状態で発声する際に大なり小なり抵抗感があることはよくあります。
つまり凝り固まった喉をほぐすために、ある程度の圧迫感・抵抗感を伴いながら練習する必要があることが非常に多いということです。
この抵抗感や圧迫感の程度は、練習を始めた段階での喉の癖や固着の具合によって変わるので人それぞれですが、1日約1時間以上の練習をして
- しばらく練習していると喉周りが若干疲労しているように感じる
- 首周りや肩の辺りが若干張っているように感じる
- 練習し終わった後も若干疲労感が残っている
こういった程度であれば基本的には問題ないでしょう。いつもと比べて少しだけ疲れた感じがするなぁ~というくらいであれば、それは訓練の初期段階では必要な負担がきちんとかけられている可能性が高いです。
しかし前回の記事でも取り上げたように
- しばらく練習していると明確に喉周りに疲労感がある
- 練習していると特定の発声がしにくくなる
- 首周りや肩の辺りがガチガチに凝ってしまう
- 練習し終わった後、長時間、声が出しづらくなる
このようになってしまう場合は、恐らく練習のやりかたが間違っているか、練習方法の選択を間違っている可能性が非常に高いため注意が必要です。
中期以降は『心地よさ』も意識していく
当たり前ですが上手く練習を続けていくことができていれば、上に書いたような抵抗・圧迫感は徐々になくなっていきます。
喉を繊細且つ柔軟に使えるようになれば『癖や固着を引き剥がす』という段階から『より良く鳴らせるようにする』という段階に移行します。
この段階になると、発声している本人にしかわからない『心地よさ』を伴った『良く鳴っている』発声を探っていく必要があります。
喉の状態や鳴っている音色にもよりますが、基本的に効率的に発声できている際には、出している本人的には『心地よさ』や『気持ちよさ』が生まれます。
めちゃくちゃ音が反響する場所での発声を気持ちよく感じた経験は誰しもあると思いますが、あの感覚です。自分の使っている力以上に外に放出されるエネルギーが大きくなると大抵は気持ちよく感じます。
練習を進めていく中で徐々にこの方向性で喉の開発していく必要があります。なのでいつまで経っても何かしらの負担・抵抗感・圧迫感を伴った発声をしていると、今度はその状態で固着が起こります。癖を直すための練習が新たな癖になるという本末転倒な状態になるということです。
まとめ:出音重視から体感重視へ
どこまで行っても『狙った状態で作られた音が出ているかどうか?』という出音での判断はなくなりません。なので訓練を続けていく中では心地よく出せてたら出音は狙った音色から多少ブレていてもOK!とは絶対になりません。
ただ訓練の段階によって、どちらを重視するのか?というのは変わります。
この辺りの判断は自分自身ではほぼ無理なので、貴方の声と喉の遍歴について詳しいトレーナーに相談してみましょう。
- 狙い通りの音色で発声できている、だけど体感的に多少負担がある
- 体感的には楽で何の負担もない、だけど狙った音色が出せない
こういう状態で且つ伸び悩みを感じている場合は、ぜひお気軽にご相談ください♪