4月や10月は社会生活を営む上で大きな変化が求められたり、気候的にも移り変わりの期間なのでメンタルが不調になりやすい時期です。
レッスンをしていると、毎年この4月10月になると練習量が著しく減るクライアントさんや、そもそもレッスンに来られなくなる方もちょくちょくいらっしゃいます。
レッスンを受講されなくなったり、練習するような気分にならない・・・という方々の多くに共通しているのが
- 真面目
- 毎日きっちり練習するタイミングと時間を決めて練習しようとする
- できる限り多く練習時間を確保しようとする
という傾向の方々です。これだけ見ると「全然悪くないじゃん!絶対上手くいくでしょ!」と思ってしまうかもしれませんが、これがそうでもないんですよね~・・・
上記のような傾向の方々はボイストレーニングの初期段階での目標設定を間違えて、その状態で一度でも躓くとそのままモチベーションが下がってしまい練習しなくなってしまうことが非常に多いです。
これまでに書いた関連記事
上記の記事は主に「継続する」ということに関して書いた記事です。これらを読んでいただければ練習をやる気やモチベーションではなく「習慣」として続けられるようになるためのヒントになると思います。
この記事では、上記の記事でも少し触れていますが新しく始める勉強やスキル習得の際の「初期の目標設定」についてです。
始めた時のテンションにまかせて練習量を設定しない
何度も書いていますが、物事を始めたときというのは基本的にやる気が満ち溢れている状態です。なので記事冒頭に書いたレッスンに来なくなったり、練習しなくなってしまう人の特徴である「できる限り多く練習時間を確保しようとする」というのが顕著です。
しかし始めた頃のやる気や情熱はどう頑張っても次第に冷めていきます。
そして徐々に当初計画していた練習量や練習時間をこなせなくなると、そこから一気にメンタルが崩れて、最悪の場合ボイストレーニング自体をやらなくなってしまいます。
人間の脳はどんな小さなことでも自分で設定した目標をクリアできれば報酬系と呼ばれる神経グループが強化されます。逆に設定したことをできない状態が続くとどんどんやる気がなくなってしまいます。
- 始めた当初のテンションにまかせて練習量・練習時間を設定してしまう
- 社会・生活環境の変化によって、1で決めた練習をこなせなくなる
- 「決めたのにできない」という状態が増える
- どんどんやる気がなくなる
つまりは↑こういった悪循環に陥ってしまうということになります。
真面目な人ほどきっちり練習メニューや量、時間を定めて、スケジュールを決めてボイストレーニングを始めてしまいがちですが、それが完全に裏目に出てしまうんですね~
ではこうならないためにはどうしたらいいのでしょうか?
ポイントは「小さな成功体験の積み重ね」
↑にも書いたように、脳は小さなことでも「決めたことをクリアできた」のであれば、やる気がでてくるようになっています。
ここで重要なのは「毎日◯時から1時間以上は練習する」という目標を1回達成するのと「毎日暇な時間があれば2分間発声練習する」という目標を1回達成するのは、脳的には同じ刺激だということです。
つまり1回辺りの長さや強度はあまり関係がなく、決めたことに対して、実際にそれをクリアできた回数が重要だということです。
であればいくらやる気に満ち溢れていて、早く上手くなりたい!と考えてしまい、その先続けられるか分からない目標設定をする意味は全くありません。
目標を細切れにして小さな成功体験を積み重ねられるように工夫すればいいということですね。
別プランを用意しておく
やる気やモチベーションを維持するための方法は上記の通りですが、それでも「早く上手くなりたいから、できるだけ練習時間を確保してやっていきます!」という人もいるでしょう。
であれば必ず設定した練習ができなかった時の「別プラン」も準備しておいてください。
1時間練習したいのにどうしても使える時間が30分しかないという場合に「練習時間が1時間取れないんだったら今日は休もう」となるんじゃなくて、あらかじめ考えておいた別プランを実行しましょう。
練習時間や量に応じて、3段階くらいのプランを考えておくといいかもしれません。
- 1時間以上できる場合の練習メニュー
- 30分以上できる場合の練習メニュー
- 上記以下の時間しか取れない場合の練習メニュー
この辺りの設定は、その人それぞれの生活環境によって大きく変わってくると思うので、↑はあくまでも一例です。
また◯日連続で練習できなかったら、そこから◯日は絶対に練習するという最終防衛ラインを設定するのも効果があるかもしれませんが、そこまでいくとボイストレーニング的には成長もへったくれもない状態だと思いますので、まずは「細かい目標設定をクリアする」というのと「設定した練習ができない場合の別プラン」でなんとか頑張って続けましょう。
まとめ:どんな効果的な練習も続けられないと無意味
ボイストレーニングというのが、1日単位でコロコロ喉の状態が変わるようなものであれば、そこまで継続や習慣化するということを考えなくてもいいかもしれないですが、実際には最低でも同じ方向性の練習を数週間ほど続けてやっと変化が実感できるかも?というレベルのものです。
なので基本的に声になんらかの悩みがある場合には、最低でも数週間スパンでの練習を数ヶ月以上は継続して様子を診る必要があります。
なので持続可能な練習目標が重要になってきます。
練習始めたときはやる気もあって毎日練習できてたのに「最近サボっちゃってるな~再開しないとな~」と思っているそこの貴方!この記事を読んで「意味ないんじゃない?」ってくらい1回辺りの練習量・時間を抑えて、それを何度も達成することでやる気と習慣化を促していきましょう!