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【参考音源付き】ミックスボイスを習得するまでの流れを大雑把に解説【質問回答】

参考音源付き記事
Image by StockSnap from Pixabay

疑問・質問フォームに来た質問への回答記事です。質問の本文はこちら↓(回答まとめページはこちら

  • いつもブログを読みながら練習させてもらってます!
    裏声や地声単体の記事はありますが、ミックスボイスの出し方やそれに関する練習の記事が少ないのでもっと増やしてほしいです!
    よろしくおねがいします!

これまでボイストレーニング全体の流れを説明した記事や、ミックスボイスとは?という記事は公開していました。

今回は頂いたご要望の通りミックスボイスのための練習方法を解説しようと思ったのですが、そこを深堀りするにはその前段階の訓練が非常に重要になるため、今回は大雑把にミックスボイスに至るまでの練習について解説していこうと思います。

ただ各段階での練習方法はこれまでに何度も個別の記事にしているため、それらの総集編的な記事として捉えてもらえればと思います。

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声区の分離

ミックスボイスの素材となる地声と裏声を明確に分けることができるかが非常に重要になります。この段階が不明瞭だと、これから先の練習が意味のあるものなのかどうかが完全に手探りになるため、最初期の段階からしっかりと確認しておく必要があります。

息漏れの多い発声

地声と裏声の両方で関わりがある声帯を閉鎖する動きを抜いて、各声区の発声で主になる動き(収縮と伸展・開大)だけを使った発声を作るために、息漏れの多い発声ができるかが重要です。

純粋な地声・裏声やピュアモーダル・ファルセットなんて呼ばれ方もします。

この練習は地声であればE4付近より下の音域、裏声の場合はB3~B4付近の音域という限られた音域内で練習します。

最近はこういった発声の重要性が知られるようになってきましたが、よく勘違いされているのが、こういう発声ができていないと声区の分離ができていないと診断してしまうことです。

この発声は声区の分離ができているかどうかの確認としても利用できますが、そもそもこういう発声を作ること自体に訓練価値があるので、毎日確認程度に出すだけしかしていない人が非常に多いのですが、それだと非常に勿体ないし、中々分離が進みません。

毎日、集中しながらどうすれば息が漏れたまま吹き抜ける感覚を保って地声と裏声が出せるのかを探ってみてください。

練習のポイント

  1. 息漏れが起こっているので、長く伸ばせるような状態はNG
  2. 喉頭(喉仏)が安静な位置よりも高くならないように意識する
  3. 極端な声量の増減が起こらないように

裏声の下降

純粋な裏声を練習して、声帯の伸展が上手くできるようになったら、徐々にあえて抜いていた要素である閉鎖を関わらせた裏声を出せるようにしていきます。

支えた裏声やヘッドボイスなんて呼ばれ方もします。この裏声を裏声のまま低音域まで鳴らすのが非常に訓練価値の高い練習です。

この練習は裏声の状態が保てるのであれば、換声点以上の裏声の音域はもちろん、換声点以下の本来は地声で出せる音域まで幅広く出せるように練習します。

この練習によって、声帯の伸展をなるべく広い声域で保つことができるようになると、単純に裏声を鍛える際にも非常に有利になります。そしてこの訓練がこなせないと融合していく、つまり地声と裏声を協働させる際に全く対応できなくなるので、私は個人的に最も重要だと思っているボイストレーニングの訓練です。

練習のポイント

  1. 地声的な重さや厚さを作らないように、なるべく広い音域を裏声の状態を保つ
  2. どの音域でも極端な息漏れをさせないようにする(声を持続させられる状態を保つ)
  3. 音域が低くなると声量も徐々に小さくなる

声区の強化・確立

分離できた地声と裏声をそれぞれより強く大きくしていく段階です。この段階では基本的に声帯の主な動きである収縮・閉鎖・伸展・開大がそれぞれバランスよく関わっている状態を保って発声します。

またこの段階では分離の段階で主に操作した声帯の動きだけではなく、それを含めた喉頭の操作も加わります。外喉頭筋群や喉頭懸垂機構と呼ばれる、発声に関わる喉頭を動かす筋肉も合わせて訓練に盛り込んでいきます(アンザッツ等)。

この記事では探りやすい喉頭を引き下げた状態での発声しか紹介しませんが、本来は引き上げる動きや全体をバランスよく動かした状態での発声も行う必要があります

支えた裏声の訓練

基本的に練習の仕方としては分離のところで解説した裏声の下降と同じですが、その際に使う裏声が喉頭の操作が関わったものに変わります。

ここでは喉頭の位置を引き下げた裏声を使います。

この練習も分離段階での下降練習同様、換声点以上の裏声の音域はもちろん、換声点以下の本来は地声で出せる音域まで幅広く出せるように練習します。

練習のポイント

基本的に守りたいポイントは裏声の下降と同じです。

  1. どの音域でも喉頭の位置が安静な位置よりもしっかり下がっている状態を保つ
  2. 声を持続させ、できれば動きも付けて練習する
  3. 音域が低くなっても、なるべく声量を保つ(大きくなるのはNG)

支えた地声の訓練

ここでは地声の際の声帯の動き(収縮と閉鎖)を明確に強めた発声で訓練します。ここれは裏声と同様に喉頭の位置を引き下げた状態での地声を使います。

この練習は地声の最高音であるE4~F4付近の音域が最高音です。それ以下の音域であればどこでも支えた状態を維持したままの地声で鳴らせるように練習します。

練習のポイント

  1. 最高音はE4~F4付近まで、それ以上は無理に出そうとしない
  2. 声を持続させ、できれば動きも付けて練習する
  3. 音高が上がるにつれて音量は増していく

声区の融合

ここまでの段階をきっちりこなしていれば、喉はかなり自在に操作できるようになっているはずなので、ネットやYouTubeで紹介されているような練習でも、真似すればそこそこ対応できるはずです。

ここでは超シンプルな方法と定番の方法を紹介しておきます。

スライドでのミックスボイス訓練

ここから紹介する訓練は基本的に必ず片方の声区から始めて、もう片方の声区に滑らかに繋いでいきます。なのでここまでの訓練のように片方の声区内だけで成立するものではありません。

この練習は地声(E4~F4までの音域)と裏声が鳴らしやすい音域(大抵はA4~C5付近)を繋ぐように練習します。換声点付近の音域からスタートするとどっちつかずな状態からスタートすることになるので注意しましょう。

練習のポイント

  1. 地声から始めたら必ず裏声まで到達する
    裏声から始めたら必ず地声まで到達する
  2. 音色や音量に関してはまずはあまり考えない
    声区同士が断絶しないことを優先する
  3. 難しければ速度を変えたり、換声点付近で声量を変える

スケールでのミックスボイス訓練

スケールに関してはこちらの記事を参考にして、発声しやすいものを選んで練習しましょう。自分で鍵盤を弾けない場合はYouTubeなどで調べるとたくさん出てくると思うので、そういった動画を利用してください。

この練習はスケールによって大きく難易度が変わるので、上記のスケールに関する記事を読んだ上で注意点なども考慮し、発声しやすいものを選んで練習しましょう。

練習のポイント

  1. 子音によって発声の難易度が大きく変わるため、上手く声区を繋げる発音を探す
  2. 発音を決めたら、どの音域でもその発音を保つ
  3. 難しい場合は断絶があっても構わないので、とりあえず音高だけは外さないようにする

まとめ:あくまで超ド定番な練習のみの紹介です

ここに紹介したのは、ボイストレーニングの流れをなるべくシンプルにしたロードマップの一例です。なので恐らくこの記事にある練習だけが上手くできたとしてもミックスボイス完成!とはなりません。

レッスンなどでは、ここで紹介した練習をもっと踏み込んで、難易度や強度を調整しながら処方したり、そもそもここでは紹介しきれてないけれどめちゃくちゃ重要な練習方法が山程あったりします。

そんなこともあって、実際にこの記事で紹介した練習をレッスンの中でそのままクライアントさんにやってもらうことはかなり少なかったりします。

定番でオーソドックスな練習方法ではあるものの、それらをそのまま実践できない喉の状態の人の方が多いため、ここで紹介した練習が全くできなかったとしても、あまり心配しないでOKです。大抵はそんなもんです。

だからといってこれらの練習方法自体に効果がないわけではありません、喉に大きな癖や固着がない場合、ここに書いてある練習をこなせるような喉であれば、発声に関わる悩みは徐々に少なくなっているはずです。

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