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ボイストレーニングの成果をどこで判断するか?|音域だけでは測れない

独学でボイストレーニング
Image by Thorsten Frenzel from Pixabay

ボイストレーニング界隈では大昔から「◯回のレッスンで◯音の声域拡張に成功!」とか「◯日で◯オクターブ広がる!」といった出せる声の広さによって成果や実績を謳うケースが多々あります。

未だにこういった宣伝の仕方をしていたり、声域拡張をボイストレーニングの成果として捉えているトレーナーや受講者の方も多くいるのですが、そもそもこの考え方自体はボイストレーニングの本義として考えればあまり正しくありません。

もちろん出せる音域が広がるのはボイストレーニングとしては非常に重要ですが、このブログでは何度も書いているように、あらゆる発声が「どのように出せるか」が重要であり、ここを無視した状態での練習や発声はほとんど無意味です。

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声の様々な要素

  1. 高さ(Hz)
  2. 大きさ(SPL)
  3. 長さ(秒)
  4. 音色(倍音)

上記は声を構成する4つの主な要素です。

ボイストレーニングはこれらを全て考慮しながら、開発したい神経や刺激したい筋肉に対して効率的にアプローチできるように訓練を組み立てていきます。

逆にこれら4つのうちどれか1つだけを狙った状態にできても、それはめちゃくちゃに偏った練習ということになり、続けていると他3つの要素を犠牲にし喉はどんどん偏った状態になっていきます。

ということは冒頭に書いたような音域の拡張、つまり4つの要素のうち『高さ』に関わることだけ練習してしまったり、変化として音域の拡張だけを見ていると、ほぼ100%の確率で喉は固着し自在性を失っていきます。

音域拡張だけを目的に練習してしまうと

  • 高い声は出せるようになって声域は広がったけど思うように歌が歌えない
  • 高い声は出せるようになったけど望んでいる声質が出せない
  • 高い声は出せるようになったけど換声点付近がガクガクする

“ボイストレーニング” を続けていった結果、上記のような状態になってしまったという方は私のレッスンにも多数来られます。

こうなってしまった原因は声の要素のうち『高さ』しか見ていない、もしくは『高さ』を優先しすぎた練習を続けてしまったことにあります。

4つの要素の内の3つも犠牲にした練習を続けているわけなので、下記のように様々な不都合がでてきます。

  • 高い声を出すために強い呼気で声帯を鳴らす/声帯を強く閉鎖させて鳴らす
    • 高い音域で大きさの調整ができない(小さい声で高い声が出せない)
    • 高い音域で長く発声することができない(声帯を振動させるのに息を多く使うから)
    • 高い音域で音色が変化させられない(声道の形や声帯の接触率・厚みを変える余裕がない)

こうなると大変申し上げにくいのですが、今までやっていたボイストレーニングで時間をかけて喉に固着を作ってしまっていたということになります。

成長しているかどうかは4つの要素のバランスが重要

前述の通り4つの要素のうち1つだけが突出して変化していたとしても、それはただの偏り・固着になっている可能性が高いということなので、発声スキルの向上は4つの要素がバランスよく変化しているかどうかが重要になります。

  • G5まで発声できるようになったけど・・・
    • 小さく軽く発声できない
    • 長く伸ばせないし音色が変えられない
  • D4だったら思い通りの音色で発声できるけど・・・
    • 大きく強く発声できない
    • 高くしようとすると音色が変わり息が続かなくなる
  • E4までなら思い通りに発声できるけど・・・
    • 高くしようとすると喉が詰まって出せない

上記はあくまで例ですが、1つの要素を狙い通りにするためにその他の要素を犠牲にしなければいけないという状態であれば、それはただ喉のバランスを大きく崩して発声しているだけなので成長しているとはいえません。

声の要素の中でも、高さは指標として非常に分かりやすいことに加えて、他の要素を無理やり巻き込んで発声すれば一瞬で広げることができるため「成長してるんじゃね!?」と思いやすいことが原因でよく成長の証として捉えられがちですが、この要素1つだけでは実際に意味のある成長をしているのかどうかはわかりません。

他方で各要素の変化自体は小さいながらも4つがそれぞれが狙った状態に近づいているのであれば、それは着実に成長していると思って良いです。

練習内容も4つの要素を考えて行う

練習するときも4つの要素のうち、どれか1つの要素だけを意識するのではなく『どの要素を優先するか?』という風に考える必要があります。

もちろん4つの要素すべてを狙い通りにできるように強度を調整した練習ができれば最高ですが、大抵はいずれかの要素を狙い通りにするには、残りの要素を多少犠牲にしてしまうような状態であることがほとんどです。

なのでその時々で成長に必要な練習として『優先し狙い通りにする要素』『少しルーズにしてもいい要素』のバランスを考えながら組み立てていく必要があります。

これらのバランスを考えないと練習同士が効果を打ち消し合い、あれこれと練習をやってみてもどれも効果がでない状態になります。

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まとめ:こんな細かくあれこれ考えたくない!という人は・・・

ボイストレーニングのレッスンに行きましょう!というか来てください!( ◉◞౪◟◉)>ヘヘッ

私に限らず、まともなボイストレーナーであればこの記事で書いたようなことは当たり前に考慮した上でトレーニングのメニューを考えています。

そして実際に発声していただいた上で声や身体の反応や変化を見つつ、どの要素を優先するか、犠牲にしていたとしてもスルーするかどうかを判断してレッスンを進めています。

ボイストレーニングの独学が難しいのは、こういった要素の差し引きをしないと効果がでない、というか結構な割合で逆効果になることがあるという部分からでしょう。

なので少しでも「自分では無理だ・・・」と思ったり、ある程度の期間を独学で練習していたのに思ったような成長・変化を感じられない場合はお早めにレッスンを受けてみてください。

前述の通り、変化がないだけならまだしも、何もしていなかったならできなかった発声する上での余計な癖や固着ができてしまう可能性があるので、迷っているならすぐにレッスンを受けるのがオススメです!

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