今回は頂いた質問にお答えしようと思います。匿名希望の方からのご質問です。
質問文を読んだ感じ結構いろんな方に当てはまりそうなお題じゃないかなーと思っております。
早速質問文の紹介から始めましょう!
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ヘッドボイスへの移行が早すぎてチェストボイスの質感を残して高音を出せない
ご質問の主な内容 ご質問者様:匿名希望
- 弱い状態ではあるがミックスボイスは出せている。
- 早くヘッドボイスに移行してしまいチェストボイスの感覚を高音域まで残せない。
- 換声点は確実ない
- これからの練習方法は?
といったところでしょうか、それでは回答していきましょう。
毎度おなじみ「聞いてみないとわからない」です
あくまで想像と憶測での回答です、ご了承ください
こういったご自分で診断して、こういった症状があるという質問の場合とっても難しいのです。
こういった声が出ない!という質問ならばある程度のセオリー通りの練習で出せることもありますが、こういった特定の箇所での症状は
- どこか部分的に声に問題があるのか
- 声というもの全体に何か問題があるのか
- 自己診断自体が合っているのか
などなどいろいろ考慮しなければいけない事が増えますので、回答の具体性は低くなります、そこはもうしょうがないのでご了承ください。
今回の質問の場合もそうです、初期段階の正しいミックスボイスは出来ているとご自分で診断されていますがそれ自体に誤りがあった場合アドバイスを書いても全く的外れになる可能性すらあります。
なので今回は勘違いしてそうな部分も合わせて解説しておこうと思います。
まずはよーく注意して確認してください
質問内容から感じた勘違いしそうな部分
Check1 本当にチェストボイスとヘッドボイスが正しいバランスで出せていますか?
こちらの記事のプロセス?の状態だと自己診断していますが、要注意です!
男性ですので声種はわかりませんが、低い声種だとA3から3音程度の範囲、平均的な高さの声種だとE4から3音程度の辺りがブリッジエリアです。
その辺りまで極端に負担を感じること無くチェストボイスで歌えていますか?
この部分より下の音域からヘッドボイスで歌うと、その後はどうやってもヘッドボイスの軽いテイスト、もしくはファルセットのように力が抜けた声になります。
逆にブリッジのすぐ手前までチェストボイスを張り上げるように歌っていても、そこから一気に軽いヘッドボイスになるのは避けられません。
どの音域でも常にあるマインドとしてもそうですが、このブリッジエリアでは特に「声帯は徐々に薄く引き伸ばされ、息の量も段々減っていく」という事を強く意識しておきましょう。
Check2 換声点に関する診断について
質問文には換声点は確実にないと書かれていましたがこの部分が不思議ですね。質問者の方はブリッジエリアでなにも変化を感じていないのか?それとも変化は感じるが声として出ている音には落差がないのか?
早い段階からヘッドボイスに移行してしまうと書かれているのに、換声点はない・・・・
そのヘッドボイスに移行してしまう部分が換声点だと思うのですがどうなのでしょうか笑?
この質問に関してはもう少し詳しく具体的に書いて頂かないと回答のしようがないですね。ヘッドボイスに早く移行してしまうとあるので、その部分が換声点です、その切り替わりの部分がある程度滑らかなのかしら?
まぁある程度滑らかに移行は出来ているけど、ヘッドボイスのテイストが強いという事でお話しましょうか。
そうであればその早いと感じる部分から移行しているから滑らかに繋がっているという可能性が高いです。
つまり正しいバランスの場合
超簡単なイメージ図ですがこれが正しい動き方ですね、段階的に薄くなっていってますので。
そして換声点付近でも一気薄くなることなく、ある程度その手前のチェストボイスから厚みを保ったままの状態が維持出来ています。
ですが質問者の場合は次のようになっていると考えられます。
本来もう少し厚みを保って置かなければいけない部分で一気に薄くなっちゃうということです。
この動きがある程度滑らかに行われていると考えていいでしょうかね。
こうなっているならば換声点はないという診断自体が間違っています、パターン?のように発声出来るから換声点が消せている又はないと言えるのであってパターン?の場合は声帯の厚さが70から10になった部分で一気に声質も変わるしそのまま高音に行ってもその厚さが増される事はないです、つまり換声点は消せていません。
広義的な意味でのミックスボイスと実際歌った時に違和感のない声について
実際に起こっている事とそれが音楽的かどうかは別問題です
私は常々「声質が切り替わっても、チェストボイスからヘッドボイスに移行出来ているならばそれはミックスボイスだ」といっています。
しかしそれはあくまで導入部分でのお話です、それでそのまま歌ったとしても中々思うように表現出来ないでしょう。
上のイメージ図のパターン2の場合でも広義的にはミックスボイスだと言えます、極端にチェストボイスを持ち上げている訳ではないし、低い音域から極端に声帯を薄くして歌っているわけではないですから。
ですがこのパターン?の状態で「ミックスボイスが出来た=換声点が消せた」と考えるのは早計過ぎます。そこが最大限出来ていないといけないスタートラインです。
何度も言っていますがパターン1の状態でも歌のように複雑なメロディーや広い音域を歌ったとしてもそのバランスを保てるか?またその保ったバランスから負荷を増やして強い声を出せるか?などなどもっと難しい調整が必要になってきます。
なにか一つの状態がミックスボイスではないです、それはしっかり頭に入れておいてくださいね。
以上を考慮した上での練習方法の提案
鍵盤を使い細かい練習をしましょう
これは今回の質問者の方だけではなくミックスボイスの精度を上げたいと考える方にはおすすめ、というか必須になってくる練習方法です。
質問文には現在の練習方法は地声から滑らかに音程をあげていってヘッドに繋ぐ練
をしているとありました、つまりサイレンやポルタメントと言われる練習方法です。この方法にはいろんなメリットがあるのですが、今回のような症状の場合
どこからブリッジで、どこからチェストボイスを離れてヘッドボイスに移っていくのか
など細かい変化を自分で感じて、それがある程度段階的に出来ているかを診断しないといけません。なのでサイレンなどでの練習はその部分がなんとなくになってしまいがちです。
なので鍵盤を使いブリッジ付近を半音ずつ細かく発声してみましょう、細かーく発声してそれを録音してみてください。
この練習方法はどのレベルでもとっても効果的且つ声の診断には一番確実です。是非こういった細かい練習をしてみてください、きっとどこに問題があるかわかると思います。
まとめ!!
長くなりましたがいかがだったでしょうか?
やはり実際に声を聴かないことには中々診断しづらいですね、音源必須にしようかしら?
今回提案した練習方法は大事なのにやってない方の方が多いです。こういった細かい練習が声の精度を上げていくことは確実ですので是非鍵盤を使い練習してみてください。
自分でどのくらいの高さの音を出して、どういう風に出しているかということを知るのは声を出す最初の一歩です。
そいうことで今回はここまで!