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【参考音源付き】強いミックスボイスと強い声門閉鎖の違い

参考音源付き記事
この記事は2013年12月に公開し2016年2月に書き直したものをさらに改定した記事です。

さて今回で2回目となる記事の書き直しになりますが、何故かというとこの記事がこのブログの記事中で一番アクセス数が多いからです笑

やっぱり多くの人は強い高い声というのに憧れているんですね~

ということで今回は軽い参考音源を使って、強い声門閉鎖を使った声と、恐らく多くの人が求めているであろう強いミックスボイスの違いを解説してみようと思います。

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よくある強いミックスボイスに関する勘違い

強い声門閉鎖 ≠ 強い声

よくネット上では裏声(ヘッドボイス)というのは声門閉鎖が弱い声だ!それが地声(チェストボイス)との違いだ!という感じで書かれてたりするので

  1. 裏声(ヘッドボイス)は声門閉鎖が弱い
  2. じゃあ地声(チェストボイス)っぽくするには?
  3. 強い声門閉鎖!!!

という方向に向かっちゃう人がいるのですが、残念ながら声門閉鎖だけを強めても声は強くならないことが非常に多いです。

声門閉鎖だけを強めた声というのは、多くの場合こうなりやすいという特徴があります。以下に陥りがちな発声状態の参考音源を載せた上で、どういう状態になりやすいかポイントをいくつか挙げてみるので、自分が望んでないのにそういう声になってないか聴き比べてみてください。

参考音源1:よくありがちな高音発声(E4~B4)

大げさにありがちな状態を盛り込もうとしたら、わざとらしくなりすぎちゃいましたが・・・笑

さぁこういう声を聞いて「力強い声だ!」とか「かっこいい声だ!」と思う方は、ここから↓の文章は読まなくてOKです笑

多くの人は「こういう声で歌いたいわけじゃないんだよな・・・」とか「高い音が出てるだけでかっこ良くない」と感じるでしょう。

さてじゃあこの参考音源1の発声状態だとあまり良いと思わないのはなぜなのか?というかなぜこういう声になってしまうのか、簡単に状態を挙げてみましょう。

  1. 喉頭の位置が高い
  2. 声帯の厚みが薄い

ということが起こっている、というかわざとそういう(加えて不安定な笑)状態にして発声したんですが、この状態が声にどういうトーンの変化や印象を与えるのかという部分です。

喉頭の位置が高い = 細く聞こえる

あまりにも簡単にしすぎましたが笑、多くの場合こういう考え方でも良いと思います。

喉頭(喉仏)の位置が上がると、声の共鳴するスペースが狭くなります。楽器で想像すると分かりやすいですが、小さい楽器ほどキンキンした音色になっていきますよね、ギターとウクレレを比べると音色の違いは明らかです、ウクレレの方が高い倍音を多く含んでいて、ギターよりもキンキンと鋭い音色になります。

喉もそれと同じで、共鳴するスペース、ギターやウクレレでいうところのボディの部分を狭く使えば鋭い音色が増えます。

高い音を出来るだけ効率的に出そうとするのでれば、喉頭の位置が高い状態というのは別に悪いことでもなんでもないのですが、これが意図せずコントロール出来る範疇にない状態で上がりきってると、どうしてもキンキンした音色だけが強調されてしまうので、あまり強い音色には聞こえないでしょう。

声帯の厚みが薄い = 声帯筋があまりお仕事してない

発声の状態を声帯という部分だけにフォーカスして説明するのであれば、前筋(輪状甲状筋)と内筋(内甲状披裂筋/声帯筋)の引っ張り合いということになります。

で参考音源1の声というのは内筋(内甲状披裂筋/声帯筋)が思ったより働いておらず、地声系30%/裏声系70%といった感じです。

そのかわり、音源をよく聞くとジリジリザラザラしたノイズのような成分が多く含まれているのが分かると思いますが、これは多くの場合声帯をしっかり厚くして鳴らそうとするんだけど、ちょっとずれた場所にテンションがかかってるときに出やすいトーンです。

声の元となる要素も軽い状態で、なおかつ響かせ方も高いキンキンした音色が増えやすい状態ということで、まぁ普通に考えればしっかりとした強い発声に聞こえるはずはないということです。

スカスカの息の漏れた声にはなってないけど・・・

とりあえずテンションをかけない裏声というのは多くの場合、息っぽく聞こえたり感じたりするので、それを無理くり無くそうとしたらこうなっちゃいましたって感じです。

比較的声門閉鎖はある状態なので、これくらい発声でもそれなりに長時間発声出来たり、曲を歌うということも出来なくないでしょう(聞いた印象は別として)。

これ以外にも色んな傾向があります

参考音源1の状態以外にも、その他色んな喉の状態(意図せず起こっていること)が複合している場合があります。

地声系>>>>裏声系のパターン

参考音源1の場合は前筋(輪状甲状筋)はそこそこスムーズに動いているので、音程は上がったり下がったりしていないですが、前筋(輪状甲状筋)の動きが弱く、内筋(内甲状披裂筋)や上で書いたノイズっぽい音色を作る筋肉でガチガチに声帯を固めて出そうとするパターンであれば、音はフラット(低くなる)する傾向が強くなるはずです。

その場合は音高が上がるに従って音量も増えていくでしょう。高い音になると小さい声で出せないという場合はこの状態になっていると疑うべきです。

この場合も多くは喉頭の位置が高くなるであろうと考えられるので、キンキンしたトーンも合わせて聞こえることが多いです。

声帯の調節バランスは良いけど喉頭の位置が高い/低いパターン

上の参考音源1は声帯の調節の部分をみても、地声っぽく聴かせる部分があまり働いていないパターンですが、ここは良い感じに地声と裏声が引っ張り合って綱引きできているというパターンもありえます。

ただその引っ張り合いを喉頭の位置を上げる/下げるというパワーやその他喉頭を動かす外喉頭筋の力を借りて、なんとか維持できているという状態もよくあります。

その場合はそもそもその喉頭を動かす筋肉たちに力を借りずに発声するということが出来ない場合が多いので、テンションをどんどん抜いて、まずは超弱~い声から開発していく必要があるかもしれません。

プレーンな状態でそこそこ強いミックスボイス

参考音源2:過不足ない程度の高音発声(E4~B4)

参考音源1の状態から

  1. 喉頭位置のコントロール
  2. 内筋(声帯筋)の入り

というだけの変化をしてみました、どうでしょう?参考音源1と比べるとそこそこ安定して太くしっかり聞こえますよね。

1と比べると内筋(内甲状披裂筋/声帯筋)のテンションを少し増やし、共鳴腔の少し広げています。

この参考音源2の状態よりもさらに喉頭の位置だったりその他共鳴腔の調節をすると、もっと極端に太く強いトーンの声にも出来たりしますが、今回の記事では割愛します。

ということで、記事の内容としては「ある程度の強さのミックスボイスと声門閉鎖だけ強めようとしてなりがちな声の違い分かりましたよね?じゃあ終わります!」でもいいんですが、流石にそれだとちょっと心苦しいので、ここからは

参考音源1のような声にしかならない人が参考音源2のような声に近づく方法

ということで少し解説してみましょう。

【参考音源付き】ミックスボイスの状態と出し方・練習方法
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参考音源3:出来る限りテンションをかけない高音発声(E4~B4)

こんな弱っちい声誰でも出せるよ!って思った方、本当に出せますか~?( ◉◞౪◟◉)

いくつかポイントを挙げておきます、それらを意識して、この参考音源3のような声で出来るだけ広い音域を発声できるように訓練してみてください。

ポイント!

  1. あくびする寸前の喉を少しイメージする
  2. 出来るだけ小さな声で
  3. 『ウ』の母音で
  4. 音高が上がっても音量を一定に保つ
  5. 一音を長く伸ばそうとしない

これらを意識して楽ーに軽ーく出してみてください。恐らく多くの人が薄い裏声の体感で出すことになると思いますが、それでOKです。その裏声の音色・体感で出来るだけ広い音域を出せるように練習してみてください。

それが超スムーズにしっかり出来ていれば、参考音源2のような声を出せる下準備は出来たといえます。そうなれば

【参考音源付き】トレーニングの『強度』を変えてみる/メッサ・ディ・ヴォーチェ編
レッスンでは当たり前のようにやっているんですが、独学ではほぼ手がつけられてない部分を掘り下げて解説し...

この↑記事のような融合系の訓練をしてやれば、徐々に高音域でも声帯のコントロールする能力が出来てきます。

流石にここに書いたことだけで簡単にしっかりした強い高音発声が出来るようになるわけではありません。十人十色で様々な喉の状態がありますので、徹底的にトレーニングするのであれば信頼の置けるトレーナーのレッスンを受けてみてください。

まとめ:まずはOFFの状態からスタートする

○○みたいな声が出したい!ああいう声が出したい!

という気持ちは分かりますが、現状自分の声や喉がどういう状態なのかを知る必要があります。最初っから理想の声の要素をちょこちょこ入れれる範囲でとりあえず入れてしまうと、もうこんがらがって、そこから先どうしたらいいのか分からなくなります。

ごちゃごちゃになった結果、自分の全然望んでない声しか出せないのであれば、それはその人にとっては良くない発声といえるかもしれません。

なのでまずは参考音源3のような声に含まれている要素を出来るだけカットした声が出せるかどうか、そこからスタートしてみてください。

そうすれば後々どういった要素を足せば目指した声に近づくのかを明確に訓練に取り入れることが出来るようになっていきます。