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【参考音源付き】トレーニングの『強度』を変えてみる/地声編

参考音源付き記事
Image by LouisBauer from Pixabay

練習の強度を調整して効果的な発声状態を探ろうというシリーズ3本目の記事です。今回は地声の練習に関してです。

このブログではよく裏声の重要性を書いていますが、当たり前に地声の訓練も必要不可欠です。そして地声の訓練は裏声の強度調整とは違った側面の注意が必要になるため、地声を強化したいとお考えの方はぜひこの記事に書いたことを参考に練習方法と強度調整をしてみてください。

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発声の強度に関してのおさらい

発声を構成する要素

  1. 音高
    高く発声するほど強度は高くなる
  2. 声量
    大きく発声するほど強度は高くなる
  3. 持続時間
    長く発声するほど強度は高くなる
  4. 音色
    倍音が多い発声ほど強度は高くなる

全ての発声状態が上記の限りではないですが、練習の調整としては大雑把にこのような要素で捉えていただければOKです。

裏声の場合はこれらの各要素がそれぞれ低くなることが効果的な練習にするために必要なパターンが非常に多いのですが、地声の場合は訓練として効果が出るようにするのであれば、これらの要素を低くして練習を構成することは基本的にありません。

つまりいずれかの要素をあまり考慮しないようにする、そして要素を強め強度を高めるというのが基本的な方針だということになります。

そして前回の裏声の強度調整の記事でも書いた通り、上記の発声を構成する要素の内、もっとも強度に影響するのが2の声量です。声を大きくするのか小さくするのかによって、強度は全く変わってきます。

なので地声の訓練では声量を大きくするというのが、効果的な練習にするための重要な調整だということです。

なぜ地声の訓練だと強度を高めるのか?

常識的に考えて、練習の難易度を下げるために調整するのであれば負荷を弱める方が良いんじゃない?と思う方が多いと思います。

裏声の場合はまさにその考え方です。誤作動や狙ってもない筋肉が稼働することを避けるため、なるべくシンプルな動きにするために強度を低く設定するのが定石です。

しかし地声は逆?なんで?と思いますね。これは地声と裏声で声帯に対する主な動きが違うためです。

  • 地声
    収縮と閉鎖
  • 裏声
    伸展と開大

超シンプルに各声区の声帯の動きを表すと↑このような感じです。なので発声の強度を調整するとなると、如何にこれらの動きをさせやすくするのか?というのがポイントになります。

裏声の場合は伸展と開大、つまり声帯を引き伸ばす、そして開くという動きを狙った通りにしやすくするために要素を調整するわけですが、この伸展・開大というのは各要素を低くすることでスムーズに起こりやすい動きです。

逆に地声を主に構成する動きである収縮と閉鎖というのは、そもそもある程度の強度がないと反応しない動きでもあります。

なので地声を鍛えよう!とする場合、基本的には「小さめの声で」「喋り声より低めの音域で」というのはあまり効果的ではない場合が多いということになります。

声量だけは絶対に確保して練習する

参考音源:NGパターン

地声の練習をしている際に、音高が上がってくるとこんな感じで喉が苦しくなり音が届かなくなったり、同時に声量まで落ち込んでしまうという場合、ひとまず声量だけは確保できるように調整しましょう。

なので声量が維持できるように音高を下げてもいいですし、持続時間を短くしたり、音色を出しやすいように調整するのもいいでしょう。

なんとか張り上げようとしてプレッシャーを強く感じて出し続けていれば、いずれ地声が強くなるだろうと思いこんでこういう状態↑で練習を続けている方が結構いらっしゃいますが、ほとんど意味がありません。

参考音源:OKパターン

しっかりと声量を確保できる音域まで落として、狙った音高に到達した上で声量をなるべく大きくできていれば、ひとまず地声の練習としてはOKです。

地声の訓練として捉えているのに、充分な声量が確保出来ていない方が圧倒的に問題なので、とりあえずはここがクリアできているかどうかで練習を調整してみてください。

まとめ:声区の分離・強化にも重要な要素

地声の主な動きである閉鎖と収縮を明確にするためにも、声量だけは高い強度を確保して、その他の要素を外す・弱めるというのが今回の記事の超カンタンなまとめです。

ただ当たり前に声を大きくしようとする行為自体が、多少喉や声帯に対するリスクがあるのは確かなので

  1. 練習していると咳き込んでしまう、咳が多く出る
  2. 意図せずノイズが多く混入する
  3. 短時間の練習で喉に痛みが出る
  4. 練習後に声が枯れる・掠れる

上記のような症状がでる場合は、強度調整が間違っている・強く出そうとしすぎているということなので、こういった症状がでないように調整し、症状が治まってから練習を再開してください。

そもそも地声を大きく出せないという場合は、相当に喉の筋肉が萎びている可能性が高いので、できれば信頼できるボイストレーナーに声を聞いてもらうことを強くおすすめします。