ボイストレーニングをするときに意識してほしい【声の引き出し】

今回記事にする内容は、よくクライアントさんとのレッスンの時にもお伝えしたりすることなんですが、私が考える、ボイストレーニングをするときに常に意識しておいてほしいことの1つ、それが今回のテーマ『声の引き出し』についてです。

声の引き出しってなんじゃい?ってことだと思うので、簡単にイメージイラストを使って解説していきます。

このブログで何度も書いているように、ボイストレーニングというのは、声の可能性・自在性を高めていくことです、もっと簡単にいえば出せる声の種類を増やすということになるんですが、その時にこの引き出しの意識が重要になってきます。

スポンサーリンク

ボイストレーニングを全くしたことのない人の声の引き出しのイメージ

図1:普段からあまり声の出さない人はこんな感じ

表層というのは、もう何をしててもすぐに出せる声だとイメージしてください、つまり多くの方は喋り声がこの表層にあると考えていいと思います。

また不意に出る声、つまりびっくりした時や怒った時に出る声は、普段深層にあるけど、そういった事態には瞬時に表層に出せる声といえますが、普段からあまり声の出さないタイプの方だと、それすらも喋り声の範疇で出しているという方がたくさんいます。このイメージ図だともう出す声がほぼ喋り声の範疇で、深層にもそれ以外の声がないというタイプの方ですね。

イメージ図の見方

日常的に使用している机やその引き出しと同じように考えてください、よく使う使用頻度の高いものは机の上のいつでも手が届く場所に置くだろうし、あまり使わないものは引き出しの奥の方にしまうでしょう。

ボイストレーニングのメインの目的を、理想とする発声に必要な素材集めとするのであれば、重要なのは素材の数と、それがどれだけいつでも手の届く場所にあるかどうか?ということになります。

なのでできるだけ色んな声を表層に置くのが良いんですが、表に置ける声を増やすというのは中々に難しいんですね~

喋り声は生きていく・生活していく上で必ず必要で、使わないわけにはいかないから表に出てるわけで、それ以外の歌う時やボイストレーニングの時にしか出さない声は中々表層に出しておくというのは難しいです。

めちゃくちゃ出し慣れてきた状態であれば、喋り声とそこまで変わらないレベルで手の届きやすい場所に置けるようになってくるわけです。

余談:演技しているときの声の違和感

よくドラマや映画で役者さんの演技に、なんか違和感があるな~ってとき、この声の幅が喋り声から変わってないというのがよくあります。

例えば怒ったりびっくりした演技をしてるのに、出してる声が喋っている演技の時からあまりにも変わってないと、「本気で怒ってる?」とか「本気で驚いてる?」と多くの人は思ってしまうわけですね(ただそうしてるのも監督の指示だからかもしれませんが)。

脳が怒りや異常を感じ取った瞬間、身体は強張り、それに影響され喉の筋肉も緊張します、そうして発せられた声が、喋り声とほぼ変わってない音色というのはおかしいわけです。

こういう演技しか出来ない場合は、↑の図1のような状態だといえます。

ボイストレーニングを初めて間もない人の引き出しのイメージ

図2:少しだけ喋り声以外の声が出てき始めた状態

この段階で地声と裏声それぞれ一種類くらいの幅で、いつでも出せるような状態になっているという感じですね。

そして引き出しのちょっと奥まったところにも、徐々に出しやすくなりそうな声が出てきてますね、これが重要なんですね。

出しにくいけど確かに“ある”という状態

今まで全然使ってこなかったからパッと取り出せる場所にはないけど、引き出しの中にそういう声が出てきてるかどうかというのがボイストレーニングと、そうじゃないトレーニングの違いです。

この出しにくいけど、とりあえず引き出しの中にはあるという状態を作り、それをなるべく手の届きやすい場所に持ってきて、そしてそれらの素材を使って自分の理想とする声を形成していく、というのがボイストレーニングの本義だと考えています。

ボーカルトレーニング的なボイストレーニングをやっていると起こりがちな引き出しのイメージ

図3:たった1つの理想の声だけを作ろうとした状態

歌うときの声はこれしか出しちゃダメ!というような訓練しかしてないとこうなります。これでこの歌声Aが本人の本当に理想として欲しい声だったらまぁ良いんですが、大抵こういう机の上にも引き出しにも素材が全然ない状態で出来た声というは、何かしらの不自由さだったり、歌っている時に違和感があるというのが非常に多いです。

自在性がない状態から、元々ある素材だけを使い、なんとかバランスだけ取って出来た声というのが、自由自在で強力な声であるわけがないんですね~

身動きの取れない発声

加えて音色や地声・裏声のバランスを変えようと思っても、変えられません。この歌声Aという音色・バランスの声しかない状態なので、歌うというアクションをするとこの声しか出ません、そんな不自由な状態になりたくないですよね? だったらボイストレーニングしましょう!笑

ボイストレーニングを続けていくとこうなるはずという引き出しのイメージ

図4:パッと取り出せる声も引き出しにもいっぱい声がある状態

多すぎてなんか気持ち悪いですね、すいません笑

でもまぁこんな感じで、色んな声・素材が表層、つまり机の上のパッと取り出せる場所にある状態だと、それらを組み合わせてできる状態、所謂ミックスボイスも作るのはそんなに難しくなかったりします。

またここまで色々な素材があれば、ある程度狙ったバランスでの発声が色々とできるようになるので、薄い状態や、しっかりした地声の要素が多く入った融合状態つまりミックスボイスも調節できるようになります。

図3との一番の違いはここですね、素材が豊富にあれば、色々なものが作れるとイメージしてもらえればOKです。

塩と砂糖しかない状態で料理するのと、みりんも味噌も醤油も酒もケチャップもマヨネーズもある状態で料理するのとでは、どちらが多く美味しい料理を作れるか明白ですよね。

まとめ:まずは引き出しに入れておき、徐々に手の届きやすい場所に

ボイストレーニングを真面目にしっかりやってても、多くの場合、いきなり色んな声がバンバン自由自在に出せるようにはなりません。

なんだか出しにくいな~とかこれで良いのか?と思いながら出す練習をします、そうすると徐々に引き出しの奥にあった声が手前にでてきて、そして引き出しから頻繁に出して使ってやっていると、そのうち手の届きやすい場所に置いておけるようになります。

そういった過程を繰り返して、今まで全然出したことのなかった、慣れてない状態を、当たり前に作り出せる状態にしていきます。

ボイストレーニングの手順として、こういったことが重要で必ず必要になるステップとして捉えていただくと分かりやすいかな~と思います。

スポンサーリンク
記事のタイトルとURL をコピーする
講師のTwitterアカウント