【参考音源付き】ミックスボイスの状態と出し方・練習方法

昨今魔法の発声法のように語られている「ミックスボイス」を出来るだけ分かりやすくシンプルに解説していく内容になります。

しかしここに書かれているのはあくまで私木田の考えるミックスボイスの理論です。世の中には数多くのボイストレーナーや、ボイトレメソッドが存在していますが、それら全てを知った上で書いているわけありませんし、相反する理論やトレーニングを否定するわけでもありません、予めご了承ください。

ではミックスボイスとはどういう声なのか?という部分から解説してみようと思います。

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地声系の筋肉と裏声系の筋肉のちょうどいい拮抗状態

人間の喉には超シンプルに分けると、1.声帯を縮めて分厚くする筋肉2.引き伸ばして薄くする筋肉があり、それらがメインになって声を作っています。

そしてこの2グループある筋肉たちのうち、1グループが圧倒的優勢になっている状態を地声と裏声という分け方をしています。

これらを声区(レジスター)としても分けることが出来ます。こうした分類で発声を組み立てていくのが2声区論(地声/裏声声区)となります。

1の筋群が優勢だと声はしっかりとした低音域が出せるようになりますが、この筋群だけでは音高を上げることが出来ません、縮んで声帯を厚くするだけなので。

そこで音高を上げようとすれば2の筋群にバトンタッチする必要があります。この筋群が優勢だと声は音高を上げることが出来るようになり、高い音域まで音を鳴らせます。

しかし多くの人が望んでいるのは高音域だけど地声のトーンは欲しいということでしょう。なにも意図的にコントロールしない場合、低音域から高音域に徐々に音高を上げようとすると

  • 換声点
  • ブリッジ
  • ブレイク
  • パッサージョ
  • トランジション

と呼ばれる両方の筋群が不安定になる境目にさしかかり、ここで声がひっくり返ります。つまり1の筋群が優勢な状態から急に2の筋群にバトンタッチしてしまい、声が突然軽く薄くなるということが起こります。

この急激に優勢な筋群が切り替わってしまう音域のことを、↑で挙げたような名前で呼んだり(換声点/ブリッジ/パッサージョ/トランジション)、その切り替わってしまう現象のことを指す場合もあります(ブレイク)。

そこでこの境目でひっくり返らないように、どの音域でもこの2つの筋群の使用率を自由自在に変えられるようにトレーニングしていきます。

そしてそれが出来るような状態をミックスボイス(声区融合状態)と呼んでいます。

『ミックスボイスを作る筋肉』はない

ここで重要なのはどこにもミックスボイスを作る筋肉は存在していないということです。つまり生理的に人間の喉には地声と裏声を作る筋肉たちは存在しますが、それらの間の声を作る筋肉はありません。

つまりミックスボイスというのはこれら地声と裏声を作る筋肉たちのコントロールによって作られる状態を指すということです。

地声系筋群を主に使った発声

喋っている時は大抵地声を使っていますが、これにも色んな呼ばれ方がありますよね、

  • 表声
  • チェストボイス
  • 喋り声
  • 胸声
  • ヴォーチェ・ディ・ペット

等など、名前は違えど状態は同じようなものだと考えていいでしょう。

これらは全て地声系筋群が優勢に使われている発声といえます、細かい筋肉の名前はまぁ置いておいて、とりあえず重要なのは地声系筋群の筆頭ともいえる声帯筋(内甲状披裂筋)がしっかり働いている状態です。

参考音源1:地声(D3#~A3#)

こんな感じの声です、少し大げさに出していますが、多くの場合は喋っている時の声という認識でOKです。

しかし女性の場合はこういう感じの喋り声になっちゃってる場合があるかもしれません。

参考音源2:薄い地声(D3#~A3#)

こういった声は

  • 軽い地声
  • ライトチェスト

といった呼ばれ方をすることが多いです。こうなっていると地声系筋群筆頭の声帯筋がほぼ動いていないであろうと考えられます。つまりこういう声は地声がしっかり出せていないと言えるかもしれません(発声する筋肉という生理的な意味では)。

この音源でもかなり息漏れが激しいので、ロングトーンで伸ばすなんて無理な状態です。

普段よくこういう声を使っている人は、大きな声で喋っているわけじゃないのに声が掠れてしまったり、大きな声が出せないなどの症状が出てしまうことが多いです。

低音域や普段喋っているくらいの音域でも裏声系筋群が全く動いていないわけではありません

裏声系筋群を主に使った発声

裏声系筋群の筆頭である輪状甲状筋(前筋)の使用率が地声系の使用率と比べると圧倒的に強くなっている場合の状態です。

こちらも色々呼ばれ方がありますが、地声の場合は名前は違えどほぼ同じような状態を指しているであろうというのがなんとなく推測されますが、裏声の場合は明らかに状態の違うもの区別している可能性があります。

裏声グループ1

  • 裏声
  • 頭声
  • 支えのある裏声
  • ヘッドボイス
  • ヴォーチェ・ディ・テスタ

これらは裏声系筋群が優勢になりながらも、地声系筋群も程度の差はあれど動いている場合を指すことが多いみたいです。

参考音源3:裏声(E4~B4)

裏声グループ2

  • 純粋な裏声
  • 支えのない裏声
  • ファルセット
  • ピュア・ファルセット

これらは本当に輪状甲状筋で引っ張るアクションだけでしか出せない音色だと考えられます。つまりなるべく地声系筋群を使わず鳴らした声といえます。

どちらかといえばこっちの音色のほうが馴染みがないことが多いでしょう。

参考音源4:純粋な裏声(E4~B4)

この状態だと地声系筋群の1つである声帯を閉鎖する筋肉も動いてないので、強烈に息が漏れます、なので音階を上がって下がってというような長いフレーズには全く対応出来ません。

また音量も大きくしようとすれば音高まで上がってしまうので、当たり前に個人差はありますが、恐らく大多数の人が同じ音高で比べてもほぼ横並びの音量になると思われます。

声区=喉で作られる声の源(ソース)の定義

『共鳴』は関係ありません

地声を胸声といったり、裏声を頭声と呼んだりするので、胸に響いた声が地声(胸声)で頭に響いた声が裏声(頭声)と勘違いしている方が非常に多いのですが、ここまで書いてきたように地声や裏声という定義はあくまで声帯の状態やそれらを作る筋肉の動きによって変わるもので、どこどこに響かせて出すから○○声/○○ボイスという意味ではありません。

加えて胸声や頭声、チェストボイスやヘッドボイスというので、本当に胸や頭で共鳴していると思っている方も多いのですが、どちらもその場所では共鳴していません。

声が共鳴する場所というのは大雑把に分けると

  • 咽頭
  • 口腔
  • 鼻腔

という部分です。でも胸声(チェストボイス)は出すと鎖骨辺りが震えているじゃないか!?と思う方もいるかもしれませんが、これは共振という現象で実際に声がその辺りで共鳴しているわけではないとされています。

イラストで喉頭とされている部分で作られた音を声区として分けているのであって、主に使われている共鳴腔の部分によって声の状態を指しているわけではないということを分かっておかないと、後々混乱していくと思いますので注意してください。

両方の筋群をコントロールした発声

ということで地声と裏声に関してはある程度理解して頂けたと思います。何度も書きますが重要なのは地声と裏声はそれぞれに対応した喉の筋肉があるということです。

というかその二種類しかないといってもいいでしょう。ということはつまり、どんな名前の付いた声であれ、これら2つの声のバランスや使い方によって表出されるものであるというのが超重要なポイントです。

なのでミックスボイスやミドルボイスというものを語るときも、その声を出すために必要なのも地声/裏声とそれらの徹底的な訓練でしかないわけです。

ということなのでミックスボイスといっても無限のバリエーションがあります。両方の筋肉群の稼働率とどちらが優勢なのかというバランスの問題なので、一概にどのバランスがミックスボイス!というのもありません。

なんだったら声である以上、極端に偏った使い方をしない限りはどんな声でもミックスボイスといっても過言ではないでしょう。

ただ多くの人が想像するのは、高音域でも地声のトーン・クオリティがある声というのをミックスボイスとイメージしていることが多いので、今回はある程度高い音域(B4/hiB)でも強く聞こえるであろうミックスボイスを参考として用意してみました。

これらは全て地声系筋群と裏声系筋群が割合は違えど同時に動いている声です。同時使用率が違ったり、共鳴腔の形や大きさをコントロールして発声しています。

これらのうちどれか1つがミックス・ミドルボイスだ!なんてことはないのでご注意ください。

参考音源5:共鳴腔を操作したミックスボイス(E4~B4)

共鳴腔の使い方を

  1. プレーン
  2. 狭く/浅く(喉頭の位置を高く
  3. 広く/深く(喉頭の位置を低く)

という感じで変化させています。1の状態と3の状態の違いが分かりづらいかもしれませんが、まぁ極端にやってしますと声帯の調節にまで影響があるので、これくらいで勘弁してくださいm(_ _)m

ここで重要なのは共鳴腔のコントロールをしただけで、声帯の調節はほぼ変わっていない(はず)ということです。

少し先↑で書いた共鳴と声区、つまり喉の筋肉によって行われる声帯の調節とそれをどういった共鳴腔の操作をし鳴らすかという部分をごっちゃにしてしまうと全く声の解析ができなくなります。

参考音源5:声帯を操作したミックスボイス(E4~B4)

こちらは参考音源4より少し声帯を厚く使ったミックスボイスです、共鳴腔の操作としてはわりとプレーンな状態を意識しました(少し倍音を増やす操作もしてますが笑)。

ただiPhoneのレコーダーアプリで収録しているので、一定のボリューム以上はがっつり削られてしまうようで、最高音以降が不自然に絞られちゃってますね・・・(マイク感度最低にしてるんですが( ;◉◞౪◟◉))

2018年5月1日追記

レコーダーで録音し直しました。最高音でわざとらしく鳴りを増やしています笑

まぁ雰囲気だけ感じてください、もしくは声の鳴りに注目していただければ、↑の音源より強く聞こえなくもないかな~と思います。

ということで、ここまででミックスボイスというものの定義や状態はご理解いただけたかとおもいます。

そしてここからこういった声を出すためのトレーニング方法、練習方法なのですが、この時点でもう4,000字弱という文字数なので、簡潔に書いていきたいと思います。

ミックスボイスの練習方法

この記事に出てきた参考音源を真似する

参考音源1~4を同じような音色で出せるように練習してみてください。優先順位は高いものから

  1. 参考音源4:純粋な裏声
  2. 参考音源3:裏声
  3. 参考音源1:地声
  4. 参考音源2:薄い地声(これは確認程度でもOK)

です、ただこの優先順位にも個人差があります。基本的には現状自分が出せないもの、出しにくいものを訓練していく必要があるので、しっかりとした地声が出ない場合は、最優先で地声を練習してください。

そしてある程度真似が出来たら、今度はその声を

  • 地声の場合:換声点付近までしっかりと出す
  • 裏声の場合:高音は出来るだけ高く、低音は換声点以下も出来るだけ低くまで出す

という感じで地声/裏声を分けてしっかり訓練してください。

何度もこのブログに書いていますが、声区の分離、つまりきちんと片方の筋群が優勢な状態を出し分けられるようになるというのが物凄~~く重要で、それが出来てない内から、ミックスボイスを出そうとしても無理なんです。

なのでとりあえずしっかり地声と裏声を出し分けて、出し分けた上でそれを保ったまま両側に広げていくという訓練が絶対に必要です。

地声は換声点まではしっかり地声で出す、裏声は上下に出来るだけ広く裏声の状態で出す

ということを意識して練習してみてください。またここで参考として挙げてない音色で地声/裏声を出すのももちろん有効です、それがきっちりメソッド化されているのがアンザッツです。

まとめ:なるべくシンプルに考える

とりあえず個人的に重要だと考えているのは

声区(声帯のコントロール)と共鳴を混合しない

ということが第一です、様々な声を分ける言葉に惑わされて、自分がどういうことがしたいのか?という部分が混乱しないようにしておかないと、いつまで経っても声が言葉に縛られ続けてしまいます。

そしてそこをクリアにした上で

地声と裏声を出し分けて両側から鍛え上げていく

ということです。

自在に発声出来る声区融合という意味でのミックスボイスを出すのにこれ以外の方法はありません。

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