これまで結構な数、俗に高音厨と呼ばれる、女性の曲とかボーカロイドの曲を原曲のままのキーで歌いたいからボイストレーニングを始めたという男性のクライアントさんがいました。
最近でもかなり熱心にレッスンを受講していただいているクライアントさんの一人も、女性ボーカリストの絢香さんの声好きで、あんな風に歌いたい!(もちろん原キーで)ということでボイストレーニングを始めたという方なのですが、そんな方とのレッスンで、最近ちょくちょくチャレンジしている曲がブログのネタとしてちょうど良さそうなので今回取り上げることにしてみてみました。
最初に回答を書いてしまうと、男性が女性の曲を原キーで歌いたい!という場合
ということでございます。
今回のお題:絢香/みんな空の下
音源1:とりあえずこれくらいのトーンで歌いたいとして
音量注意!
一応私が歌ってみました、原曲通りのキーです。地声寄りのトーンでいうと最高音はD5辺りで、裏声/ファルセットのトーンだとE5辺りということで、男性だと普通に歌おうとしてもかなり厳しいですね~
歌いまわしや歌詞の表現、リズム等などは度外視して聞いてください笑 そこらへんは全く教えられる実力もないし、自分自身ほぼ意識してないので。
声だけにフォーカスしてみると、もうちょっと原曲の絢香さんの声に寄せることもできなくはないですが、この高さで男性の声だとどうしても聞き苦しい、というか不自然なトーンになるので、現状私の中で余裕を持たせてなんとか聞き苦しくない(それでも所々トーンがグシャってなってますが笑)クオリティはこれくらいです。
とりあえず、最低限これくらいで歌いたいという指標をこの音源1としましょう。
ある程度の自在性がない状態ではこれくらいでも難しい
聞く人によるとは思いますが、歌った本人的にはこの音高の曲だからということもあり、めちゃくちゃ強く出してるわけではないです。
ここでの強く出すというのは地声寄りのトーンを入れるということです、簡単に言えば声帯のテンションや厚みをできるだけ持たせた状態で狙った音高を出すという感じですね~
なのでこれくらいが丁度いい思う人もいれば、これよりももっと強く(地声っぽく)出して歌いたいという人もいると思います。
そんなまだハードに出すという面では色々と余地のある状態ですが、それでも歌おうとすると多くの男性は結構難しく感じると思います。
これくらいのトーンでも、この高さの曲をある程度ヘルシーに歌おうとするのであれば、相当裏声の足場が鍛えられてないと、
- ビブラートなどの声に動きが付けられない
- 喉頭の位置が上がりすぎてめちゃくちゃキンキンした鋭いトーンが鳴りすぎる(特に高音域部分で)
- ロングトーンが苦しくて出来ない
といった、歌いにくさや、とりあえず歌えたとしてもそれだけで疲労困憊してしまう状態になるでしょう。
なので↑のような状態や声になってしまう場合、とりあえず音源1のようなトーンはまず置いといて、超弱~い声でとりあえず曲の音高だけ当てられるか試してみてください。
音源2:まずはこれくらい弱いトーンで歌えるか試す
音量注意!
音源1と全く同じマイクの設定・オケの音量です、どうですめちゃくちゃ声小さいでしょう?笑
こっちの音源2では高音部分はほぼ軽い裏声のトーン、人によってはファルセットだという人もいるでしょう、そんな感じの要は地声系のテンションがほぼ入ってない声での歌唱ということですね。
男性が女性曲を原曲通りのキーで歌おうとするのであれば、まずこれくらい力を抜いて、なおかつ軽くて小さい声で音程が合うかどうかをやってみてください。
これだけ色々と重りを外してる状態の声でも音程が合わなかったり、めちゃくちゃ苦しい!となるのであれば、
- 相当に地声系の筋肉の使い方に固着している
- 音高と息の量がリンクしており、声帯のテンションに関わらず息が不足する
等などの癖や強力な固着が起こっている可能性が高いです。
その場合は女性曲を原キーで・・・とかもう寝言の域なので、ボイストレーニングをして、とりあえず喉の柔軟性を確保する必要があります。
まとめ:いつものことながら『要素の少ない状態』から始める
慣れないうちから地声の要素も裏声の要素も満載の状態では歌えないです、そもそもそんな色んな要素満載の発声状態ならば、ボイストレーニングで使うような簡単な音階でも難しいでしょう。
今回は男性が女性の曲を原曲キーで歌う場合は?というテーマで書いてきましたが、基本的な考え方に関しては、なんでも同じです。
男性が男性の曲を歌うときでも、女性が女性の曲を歌うときでも、狙った理想の声をいきなり作って歌おうとしても大抵は難しいでしょう。
まずは出しにくい部分は軽くて弱いトーンでもいいから、きっちり音高を当てられるかどうかが重要です。
重さを抜いて音高を確実に当てられるようになってから、徐々に重さを足してテンションをかけても音高を維持できるようにしていくのがベターかな~と考えています。