質問箱に来た質問への回答記事です、質問内容はこんな↓感じ。
超簡単にまとめると
- ボイストレーニングで異性の声(男性→女声/女性→男声)を出せるようになるか?
- 出せるようになるのであればどれくらいの期間・喉の自在性が必要か?
ということですね。ちょくちょくレッスンでもこういった質問をいただくことはあったんですが、記事にはしてなかったので、今回私が思う異性の声を出すということに関して少し解説してみようと思います。
ボイストレーニングで異性の声(男性→女声/女性→男声)を出せるようになるか?
出せるようになります(大抵は)
現在の私のクライアントさんの中にも身体は男性だけど心は女性、つまり女性のような声を出したいという方が2人、身体は女性だけど心は男性、で男性のような声を出したいという方が1人いらっしゃいます。
3名とも異性の声を出したい、もしくはその状態を安定させたいということでボイストレーニングを始め、全員レッスンの内容には満足していただいており、一年以上継続的にレッスンをご利用いただいてます。
ではなぜ(大抵は)なのか?この部分に関して私の思うことを書いてみようと思います。ただこれは経験の少ない私個人が思うことなので、こういうトランスジェンダー向けのボイストレーニングを専門にしている方と意見が食い違うこともあると思いますがご了承ください。
結構生来の喉の大きさに左右される
たとえば男性が女性のような声を出したい!と思い訓練するとして、当たり前ですが女性の喉の状態に近づけて発声できるようにするわけなのですが、恐らく多くの場合、元々喉の小さい男性の方が比較的簡単にそしてより女性的な音色を出せるようになると思います。
身長がそのまま喉の大きさに繋がるわけではないですが、一般的に身長が低い場合、喉も小さい、要は声帯が短かったり、共鳴腔も狭いということが多いので、160cmの男性と180cmの男性だと、恐らく前者の方が女性的な発声をするのは簡単でしょう。
逆に180cm以上の男性の場合、女性的な声が出せないわけではないと思いますが、相当に訓練して喉の自在性を上げて、加えて後述します女性的な喋り方・歌い方を身に着けないと、中々声でパスできるようになるのは難しいんじゃないかと思っています。
これは女性の場合でも同じです、身長160cm以上ある人と150cmの人だと、より男性っぽい声を出すのに必要な訓練期間や練度は結構変わってくるはずです。
どういったトレーニングをするのか?
基本的に普通のボイストレーニングをしていただきます
私のレッスンの場合は、トランスジェンダー向けのトレーニングメニューというのは特別に設けていません。普通に歌が上手くなりたい!とか喋り声を良くしたい!という方々と同じようなレッスン内容です。
その訓練過程で異性の声を作るため重要な声の素材をたくさん使うことになりますので、それだけでも土台が出来上がります。
この辺りのトランスジェンダー向けのボイストレーニングについては、武田梵声先生のこの↓著書に少し解説がありますので、気になったら購入してみてはいかがでしょう?
異性の声を出せるようになるまでどれくらいの時間がかかるのか?
声だけでいえば2~3年きっちりしっかりやれば十分に可能性はあります
この2~3年というのはあくまで平均です。男女どちらにしても、そもそも声の幅が狭く、何かしらの発声状態に固着を起こしている場合、もしかしたらそれを解すだけでも2~3年かかるということも十二分にあります。
なのでここでの2~3年というのは、まぁ平均的な喉の状態、色々と不自由で若干の固着はあるけど、そこまで重大ではない人の場合って感じです。
またこの習得にかかる時間も、あくまで私個人の感覚です、参考程度にしてください。
そして2~3年で出せるようにするのであれば、かなりその期間中はみっちりトレーニングをこなし、定期的にレッスンを受ける必要があります、まぁ当たり前ですね、短い期間で目標を達成したいなら、正しい方向性の練習を毎日かかさず続けるしかありませんから。
異性の声を出すのと同じかそれ以上に重要な要素
こっちは当研究所ではお教えできません
例えば決められた音高で「あー」という声を異性の声っぽく出すだけなら、比較的簡単に出せたりしますが、多くの人はそれだけでは元々の性別と違う性別の声だとは認識しません。
つまり発する声のトーンや高さ、その他の要素よりも、男性の声として感じる要素、女性の声として感じる要素というものがあるということです。
その多くは喋り方/歌い方、息づかい、声の立ち上がり、語尾の処理等などの要素です。
これ↑よりももっと多くの要素が絡み合って、始めて「この声は○性の声だ」と認識されるわけですね。
つまり声として異性の声を作る技術と、それを使って歌ったり喋ったりする技術は違うということです。
この辺はただ歌うためのトレーニングとしての、ボイス/ボーカルトレーニングの違いとほぼ同じですね、喉という楽器の健康的/効率的/より強力な鳴らし方とそれを使った特定のジャンルのマナーを守った上での演奏技術の違いということです。
ということで当研究所はあくまでボイストレーニングの専門なので、特定のジャンルの歌い方、つまり異性の声として認識されるための喋り方/歌い方の指導は出来ないということです。
ただこの部分は本当に自分の声に悩んでいるトランスジェンダーの方であれば、当たり前に自分で研究されている部分だと思うので、そこを詳しく指導して!という方は今まで一人もいらっしゃいませんでした。
まぁ当たり前ですよね、私なんかよりご本人の方がその部分に関しては圧倒的に上手ですから( ◉◞౪◟◉)
まとめ:何れにしてもボイストレーニングしましょう
- ボイストレーニングで異性の声は出せるようになる(個人差もあるが)
- 大きな癖や固着がなければ2~3年、ただそれ以外にも必要なスキルがある
頂いた質問への回答としては↑こういう感じになりますね。
この質問者の方が趣味やスキルとして異性の声を出せるようになりたいのか、本当に自分の性と喉の違いについて悩んでいるのかは分かりませんが、どちらにしても重要で必要なのは柔軟で自在に扱える喉です。
つまり何にしてもボイストレーニングをしなきゃ始まらないので、ボイストレーニングしましょう!笑
ということで今回はここまです~何か私に質問したいことがあれば、こちらからどうぞ~