疑問・質問フォームにこんな内容の質問が来ていたので、記事として回答していこうと思います。質問文はこんな↓感じ。
- 最近融合トレーニングを頑張っている20代男性です。 質問ですが、融合を始めたての頃は地声感や軽さが無くてもそんなに気にすることは無いでしょうか? これまで地声と裏声を自分なりに強化したつもりでいましたが、どうしても裏声っぽいなぁとか地声で引っ張ってしまう時があります。
これらは融合が進むことによって改善されると考えて良いでしょうか?
あと、いつも記事楽しく読ませていただいてます!ありがとうございます!
ということで質問をまとめると、この記事のタイトル通り、融合(ミックスボイス)の初期は地声感がなさすぎたり、ありすぎたりしてもいいの?徐々に良くなっていく?ということですね。
A. 最初はだれでもそんなもんだよ!
まず始めに頂いた質問へのざっくりとした回答としては、上記の通り、最初は誰しも思ったような音色にはできないからそういうものと思ってもらってOKです。
ただ融合する上での事前準備が全てできている上で初期段階だからバランスが難しいという場合と、そもそも事前準備ができていない状態でバランスだけこねくり回しているのでは雲泥の差なので、まずは融合(ミックスボイス)に必要な事前準備を確認しておきましょう。
融合(ミックスボイス)のための事前準備
以前からこのブログでは様々な記事で言及している通り、融合(ミックスボイス)は地声と裏声が等しく、そして強固に鍛えられた状態でないと、中々思うような自在性を保ったまま発声することはできません。
- 地声の場合
換声点・換声域(E4付近)まで披裂筋群と内筋を優勢にした状態で、自在性を保ったまま発声できる状態 - 裏声の場合
C5以上の高音域から最低でもE3付近の低音域まで、後筋と前筋を優勢にした状態で、そこそこ自在性を保ったまま発声できる状態
↑これらは最低条件です。ここまでできても、地声・裏声の機能を両立させようとすると、中々難しいという場合も少なくありません。
そして上記のように地声・裏声共に基準となる音高を記していますが、ここを意識しすぎて、その後の「自在性を保ったまま発声できる状態」というのが頭から抜けている人が非常に多いです。
ただただ地声はE4付近までガッチガチに張り上げて、裏声はスッカスカの過剰な息漏れをした状態でE3まで出せたとしても、それは融合するための事前準備にはなっていないということです。
事前準備がしっかり出来ている場合
上で書いたような事前準備がしっかりと出来ている場合であっても、元々の発声傾向によっては融合する際に少し苦戦することもあります。
元々の傾向というのは、ボイストレーニングをする前の状態です。裏声なんて出したことがない、地声でバリバリ張り上げてきた!って人や、逆に喋り声の段階からあまり地声が優勢になっておらず常に裏声優勢だったという人もいます。
このような訓練する前の元々の状態によっては、十分に地声と裏声の両方が鍛えられていたとしても、それらを協同させる際の感覚や意識が難しいということはよくあります。
ただ基本的には、地声・裏声の自在性が十分に高まってきているのであれば「こういう音色で歌いたい」という意識に反応して発声できるようになっていきますので、この場合は思ったような音色にできないな~と思っても、ある程度は時間が解決してくれる側面があります。
事前準備が十分に出来ていない場合
そこそこ地声・裏声共に鍛えられているけれど上記のような最低条件に少し届いていないという場合は、融合(ミックスボイス)自体は出せるけれど、何かしら制限されるという場合が多いです。
例えば、地声と裏声は協同させられるけれど『理想の音色にできない』『理想の音色にはできるがその音域が制限される』といった状態になるといった感じです。
他方で地声・裏声のどちらか、もしくは両方で融合するには鍛え方が全く足りないという場合、何をどうしたら融合(ミックスボイス)できるの?と取っ掛かりさえも得られない状態がほとんどです。
私もよく「地声も裏声もしっかり鍛えているけど、これから融合するのってどうしたらいいの?」といった質問をされますが、こういう疑問ができる状態がまさに事前準備が思ったほどできてない典型的な例です。
まとめ:準備しっかりできてますか?
この記事で書いたのは『地声と裏声』という非常に大雑把な分け方での事前準備という話でしたが、当たり前に本来は身体や喉の様々な部分のバランスによって発声は作られます。
今回紹介した事前準備の地声・裏声も、そもそもそれらがどういう身体・喉頭の状態でできているのかという部分も非常に重要なので、一概にこの記事に書いたことがクリアできているからといって、すぐさま融合できるというわけでは決してありません。
一つの大雑把な基準として、今回紹介した事前準備ができているか?というのを確認してみてください。自分ではよくわからないという場合はお気軽にレッスンにお越しください♪