この記事を書いているまさに今、ボイストレーニングのレッスンも対面では難しいということでオンラインレッスンを始めている所が多くなっていますが、今まで対面レッスンオンリーだったトレーナーがいきなりオンラインレッスンを始めるとなると中々ハードルが高いと思いますので、長年オンラインレッスンをやってきた経験から、オンラインレッスンをする側の最低限必要な環境構築について解説してみようと思います。
今までもオンラインレッスンを受講する側、つまりクライアントさん側が必要な機材だったり環境だったりは記事にしていますが、今回はレッスンを実施する側の解説です。
参考記事 オンラインでボイストレーニングのレッスンを受講する時に|クリアして欲しい条件
参考記事 オンラインでボイストレーニングのレッスンを受講する時に|必要な機材
ちなみに内容自体は↑の記事とほぼ同じだったりしますが笑、今回はサービスを提供する立場で解説していきます。
オンラインレッスンを実施する側に必要なもの
オンラインレッスンに必要なもの:安定したネット回線
まずはこれです、というかこれがないとここから先に解説する環境や機材があったとしてもオンラインレッスンは無理です。オンラインレッスンではネット回線の安定性と速さの両方が必要になります。
まずはオンラインレッスンをするPCやタブレット・スマホで↓のURLを開いてみましょう。あまり精度は高くないもののある程度ネット回線の速度を測ることができます。
結果がでたら○○Mbpsと表示されてある下部にある「詳細を表示」をクリックしましょう、これで回線の上りと下りの両方が測定できます。
どういった数値が出ればいいのかというのは、この画像をご覧ください。
①のインターネットの速度というのは所謂ダウンロード速度、下り速度とも呼ばれたりします。アップロード速度は上り速度になります。
- 上りと下りって?
上りはアップロードと呼ばれ、一秒間に送れるデータの量。
下りはダウンロードと呼ばれ、一秒間に受信できるデータの量。
なのでオンラインレッスンではどちらも重要です、どちらの数値が低くても安定したレッスンはできなくなります。
これらの測定で通話ソフトを利用し、ビデオ通話をする場合、最低でも15Mbps以上は欲しいです、というか上り下り共速ければ速いほどいいので、数字が15Mbpsより圧倒的に大きい数値であるのがベストです。
逆にレイテンシという数値は小さければ小さいほど良いです。これが3桁やそれに近い数値だと、上り下りの速度があったとしても、レッスンは難しいです。
- レイテンシって?
反応速度や遅延だと考えてOKです。イメージとしては、通話の場合にこの数値が高いと、テレビでよくある中継のようになるということです。
こっちが喋ってから明らかに間があって相手が返事するみたいな、そういう感じになってしまいます。
ということで、上り下りの速度は最低15Mbps以上、できれば100Nbps程度は余裕で欲しいです。レイテンシは30ms以下が理想です。
ただこの測定方法である程度基準をクリアできていたとしても、それがレッスンしている間も持続するのか、時間帯によって大きく増減しないかというのは一概に測れないので、あくまで目安です。
契約している回線業者やプロバイダによっては、ある時間帯は安定して速度がでるけど、それ以外ではめちゃくちゃ遅くなるとか、マンションなどでよくある全戸共用回線だとネットを利用している人が多ければ多いほど速度が低下するなどよくあります。
これらを鑑みて安定して通信できる状態にするか、速度低下が起こりそうな時間帯は音声だけのレッスンにしたりレッスンを取りやめたりする必要があるでしょう。
時間をお金で買って頂いているのに、こちらが原因でレッスン時間が短くなるなんて絶対避けないとダメですからね。
オンラインレッスンに必要なもの:高品質な入出力機材とその他
パソコンの場合
間違ってもノートPC等に内蔵されているマイクでレッスンしないでください。
そういったマイクやスピーカーはあくまでも必要最低限(しかも基本的には音楽用ではなく通常の会話用)の品質です、クライアント側の声をしっかり聞くにも耐えられないし、こちらの声を伝えるにも貧弱すぎます。
安くてもいいので音楽用途のオーディオデバイスを用意しましょう。
とりあえず機材一つでなんとかするのであれば、こういったUSB接続のマイクで、声とピアノ等の音をまとめて送りましょう。本当はピアノ等の音高の指標になる音もクリアな音質で送る方が望ましい(対面と違ってクライアントはピアノの音に合わせて発声できないため、音高が明確に分かるほうが良いです)ですが、そうなると一気に必要なものが増えるので、とりあえず最低限の設備です。
ただ今後もオンラインレッスンを続けていこうと考えているのであれば、めちゃくちゃ高価なものじゃなくていいのでオーディオインターフェースと、ある程度の音圧でも耐えられるマイク、余計な色付けのないイヤホン・ヘッドホンを揃えておきましょう。これらがどういうものか分からないという方は記事の冒頭でも紹介していますが、こちら↓の記事をご覧ください。
参考記事 オンラインでボイストレーニングのレッスンを受講する時に|必要な機材
加えてイヤホンやヘッドホンの出力機材です。これも間違ってもパソコン内蔵のスピーカーではレッスンしないでください、マイクが高性能であればあるほど、スピーカーから出たクライアント側の声もマイクが拾ってハウリングが生じます。
あとはビデオ通話用にWEBカメラですね、これはノートPCであれば内蔵されているでしょう、デスクトップPCであれば購入する必要がありますが、720p以上で撮せるものであれば何でもOKでしょう。
スマホ・タブレットの場合
そもそもスマホやタブレットでオンラインレッスンをすること自体おすすめしません、お金を頂いてサービスを提供している以上、こちらとしては最大限効果が出るように機材や環境に投資するべきです。
ただとりあえず急場しのぎとして利用するのであれば(それでもおすすめはしませんが)、マイクは本体内蔵されているもの使用しましょう、最近のiPhoneやその他Android端末の内蔵マイクは中途半端な外部マイクよりも高音質だったりするので。
なので必要なのはマイクが付いていないイヤホン・ヘッドホンだけです。イヤホン・ヘッドホンを使用する理由は↑と同じです、ある程度機械的に処理してハウリングが起こりにくくはなっていますが、それでも喋り声よりも大きい音を取り扱うとハウリングは起きますので。
ちなみにマイク付きイヤホンを挿してしまうとスマホ本体のマイクはオフになってしまう仕様のものが多いため、本体のマイクを使用したい場合は純粋なイヤホン・ヘッドホンを使う必要があります。
なので純粋なイヤホン・ヘッドホンを接続してマイクは本体の内蔵マイク、これがベターです。
オンラインレッスンに必要なもの:声を出せる環境
上記のネット回線や機材があって、なおかつ気兼ねなく声を出せる環境ですね、もしかしたらこれが1番難しいかもしれません。
対面レッスン時はスタジオを借りてやっていたトレーナーも、現在の状況でオンラインレッスンをする場合、恐らく自宅からでしょうからそもそもこの声を出せる環境というのが何ともできないという人も多いかもしれませんね。
これに関してはもうどうしようもないです笑
防音室を買ったり借りたりするか、もしくは私のように作るかです。
ただ最終的にオンラインレッスンから対面レッスンに完全に移行するのであれば必要が期間は決まっているわけなので、うまく折り合いを付けて、必要最低限の対策をするしかありません。
上手くこの状況を乗り越えましょう!
こんな状況なので、仕事だけに関わらず生活自体もままならないですが、出来る範囲で行動して何とか乗り越えていきましょう!
この記事ではトレーナー側の機材や環境について解説しましたが、実はスムーズ且つ高品質なオンラインレッスンをするにはクライアント側も同じくらいの機材や環境が必要になります、中々対面レッスンのようにシンプルにはできないんですね~
なのでクライアント側には最初にもご紹介しました記事↑を参考にしてもらい、お互いに出来る範囲で協力しながらオンラインレッスンをやっていきましょう。
今回のテーマであるオンラインレッスンについて、何か分からないことがありましたらこちら↓のページからお気軽にお送りください!