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ボイストレーナーの言説や指導には結構な偏りがあるという話

ボイストレーニングTips
Image by Florin Radu from Pixabay

タイトルを全く理解していない、考慮していない、知らないという人が非常に多いのですが、物事を教える/教わる際には必ず意識しておかなければいけません。

これを全く知らないと、教える場合には、ある人には効果的な指導が違う人には全く効果が出ない、最悪の場合は状況を悪化させてしまったり、怪我させてしまうこともありえます。

教わる場合には、ある特定のメソッドだけを盲信してしまったりして、それにより著しく成長を阻害してしまうことが起こりえます。

どんなメソッドや指導方法もそれを作った人々にはそれぞれに多種多様なバックボーンがあります。

このブログでも何度か書いていますが、そもそも発声能力というのは人それぞれスタート地点が大きく違うものです。

“歌の才能”と勘違いされ続けてきた“声のスタートライン”
歌や発声というのは、普通に声を発して喋れる程度の能力があれば、誰でもプロ並にも上手くなることも出来ま...

これはひとえに生まれてこの方、様々な方法で声を使い続けているからということなのですが、これによりメソッドの創始者自身の発声能力やその指導の方向性でさえも大きな偏りがあるということです。

大きな括りだと、性別や生まれ育った国、その時代背景等。
小さな括りであれば、性格やそれを形成した環境、生活習慣等。


こんなにもある様々な違いを内包しつつメソッドや指導法というのは形成されているわけです。

偏りがないわけがありません。つまりはめちゃくちゃ効果的な人もいれば、全くそうではない、もしくは逆効果になる人もいるようなメソッドや指導法も数多くあるということです。

しかしまぁまぁ効果がある、もしくはやってみたけどほぼ効果を感じられないというのが中央値ではあるでしょう。

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ボイストレーナーにもこの偏りはある

指導していて生徒の状態が良くなった場合「効果があった!自分の教えている方法は間違ってなかった!」と思うのですが、その生徒さんでさえ、講師の発信している情報を見聞きし何か感じたためレッスンを受けているわけで、その時点で講師の偏りと似たタイプの状態であることが考えられます。

貴方の元に来た生徒さんは、全くの無作為に選ばれたわけではなく、多くの場合、貴方に何らかの共感を待った、大別すると似た状態の人であることが非常に多いということになります。

その中で指導しているからほとんどの場合上手くいっているだけで、それが本当の意味で万人にも同じであるわけがないです。

ボイストレーナーをしているクライアントさんのレッスンをすると、上記のような勘違いしているから起こるであろう悩みを相談されます。

それまでの環境では、本人は意識していませんが、自分と似た状態の人のレッスンをしていたから上手く指導できていたのに、独立したり活動する場所が変わったりで、全く違う状態の人に指導しだすと全く効果がでないといったケースです。

こうなると指導している側と指導を受けている側で大きな乖離があるということなので、綿密にコミュニケーションを取って、何がどうなって、何をどう感じで、何をどう考えているのか?という部分から事細かにすり合わせていく必要があります。

指導をうける側も注意が必要

記事冒頭にも書きましたが、もちろんこんなことを考えて指導者を探している人は少ないので、よくある謳い文句「あの有名なプロに指導した経験がある!」「○○人以上の高音開発に成功!」などを見聞きしてその指導を受けたとしても、その指導者は↑に書いたような大きな偏りの中での実績ということなので、貴方の状態とあまりに違う場合には効果は見込めないでしょう。

私自身の過去の経験としてプロやセミプロをメインに指導しているトレーナーのレッスンを何度か受けたことがありますが、その時の私はかなり脆弱な発声能力だったこともあり、言われたことや教えられたことが全く理解できず、そしてその理解できていない私のことをトレーナー自身も理解できていないということがよくありました。

今となってはヒントになるようなことをたくさん伝えてくれていたのですが、当時の私くらいのレベルだと理解できるわけねーだろって思います笑

これがまさに↑でも書いた指導している側と受けている側に大きな乖離がある状態ということです。

こうならないためには、指導を受けてみたいトレーナー自身の情報が必要です。何に悩んでどうやって改善してきたのか、そしてそれが自分自身と重なる部分はあるか?ということです。

これが全くない、もしくは何を言ってるかは難しくてよくわからないけど、なんだか凄そうだからという理由であれば、貴方の状態を好転させるのは中々に難しいかもしれません。

それだけ乖離があるならば、恐らくその指導者に貴方の悩みは本当に意味では理解してもらえないでしょう。

私だけは違うはありえない

ここまで書くと指導する方も指導を受ける方も「私に限ってはそうはならない」と考える人が出てくるとは思いますが、それはありえません。万人にこの偏りはあります。我々は常に多くのバイアスの中で生きているのです。

こんなことを書いている私だってそうです。もう10年ほどトレーナー業をやっていますが、トレーナー友達やトレーナーをやっているクライアントさんの話を聞くと、私の所に来ていただいているクライアントさん達とは全く違う系統の悩みを持った方々がたくさんいらっしゃるようです。

また初回体験レッスンにはそういった私ではあまり理解できない方向での悩みをお持ちの方が時々いらっしゃいますが、その場合は、私よりももっと詳しくわかりやすい指導をされる人がいるということをお伝えすることはよくあります。

指導を受ける側としても少し上に書いた通りです。よく性格やメンタル的な部分で指導者と受講者の合う合わないが語られることがありますが、それよりも多い比重で、そこに至ったまでの違い・偏りによる成果の違いがでてきます。

おわりに

  1. 指導する側 → 想像もしていないようなことや、思ってもみない段階で悩んでいる人も多くいるということを理解する。
  2. 指導を受ける側 → いくら魅力的な理論展開をしていても、魔法のような指導方があると謳っていても、それを作ったトレーナーには偏りがあり、貴方の現状とは全く違う階層での話をしているのかもしれない。

この記事を簡単にまとめるとこういうことですね。トレーナー探しと指導に迷ったときの参考になれば幸いです。