これまでのブログでは何度も、ボイストレーニング独学が難しい&効果が出るまで時間がかかる&毎日なるべく声を出す時間を長くした方がいいですよ~ということを書いてきましたが、いまだに多くの方が
- 独学でできる
- 出来るだけ短時間の
- 確実に成果の上がる練習方法
というのを探し求めているようですね~このブログへの検索キーワードを見るとよくわかります笑
そりゃ毎日パパっと少ない時間で上手くなれるものなら、私自身もそうしたいですが、やっぱりほぼ90%くらいの割合(私自身も含め)で、練習にはある程度の時間をかけ、そのクオリティを保たないと効果が出ないという人が大半です。
しかし確かに、独学+短時間の練習でもガンガン上手くなっていく人もいなくはないです。ということで今回は独学+短時間の練習でも上手くなれるパターンについて少し考えてみます。
結論からいえば、独学で短時間の練習で上手くなる可能性はありますが、そうなるためには超厳しいハードルがあります。
独学+短時間のボイストレーニングで上手くなる方法
次に挙げる条件をクリアする必要があります
- 自分の喉の徹底的な現状把握
- その現状に一番必要かつ有効なトレーニングの見極め
- 2のトレーニングをハイレベルなクオリティで実践する
これが出来ていれば、独学+比較的短時間のトレーニングでも効果はガンガン出るでしょう。
しかしこの3つの条件のうち、1つでもクリア出来ていないのであれば、短時間のトレーニングでは恐らく効果が出るまでめちゃくちゃ時間がかかるか、全く効果が出ないでしょう。
1. 自分の喉の徹底的な現状把握
最近ではボイストレーニングに関するサイトや書籍は山のようにありますので、練習方法自体が分からないということは少ないでしょう。
しかしそれらに書かれている内容をただただ繰り返すだけでは、90%以上の人は中々成果が出ないはずです。
なぜなら現状把握ができてない、つまり自分の状態が分かってないからです。
風邪をひいている時に「この症状はなんなんだ・・・?」ってなってるということです、例えはちょっと違うかもしれませんが笑
独学の場合この時点で躓くこと必至です、だから自分の今の状態を診断してくれる医者、つまりボイストレーナーに声を聞いてもらうわけです。
ここで自分の状態がわからないと、次のステップに行けない、もしくは行ったとしても的外れな対処しか出来ないわけです。
2. 現状で一番必要かつ有効なトレーニングの見極め
上の例え話でいえば、1の段階で自分は風邪だ!としっかり現状把握し、この2の段階では、じゃあ必要なのは
- 風邪薬
- ポカリスエット
- 暖かくすること
- 睡眠
これらだ!と見極められることです。
ここで1が分かってないとこの症状は胃痛かな?じゃあ胃薬だ!となっても意味ないし、もしくは1が分かっていたとしても、この必要なものを見極める段階で風邪には胃薬だ!みたいな超おバカな選択をしてしまったりしてもダメなんです笑
ただこの例では、誰もが幾度となくなったことのある風邪という超当たり前なことへの対処法なので、その時必要かつ有効な方法がパパっと思いつきますが、これが新たに習得したいスキルだった場合、こんな簡単ではないです。
右も左も分からない状態から、運良く自分の現状把握は上手く出来たとしても、それを改善するための方法がパパっと浮かんでくる人は天才と呼ばれる部類の方でしょう。
3. 2のトレーニングをハイレベルなクオリティで実践する
風邪の例で話を続けますが笑、ここでは2の時に出てきた必要なもの、つまり対処法/トレーニング方法をしっかり実践できるかどうかということです。先程挙がった
対処法1
- 風邪薬
- ポカリスエット
- 暖かくすること
- 睡眠
これらが、実際のスキル習得のトレーニングの際にはこんなことに↓なりがちです
対処法2
- 胃薬
- コーヒー
- 水風呂
- 夜更かし
まぁ流石にここまで歯向かったことやる人は少ないと思いますが笑、ただボイストレーニングだとこれに近いことをやってしまっているというのも珍しくありません。
もしくはかなり勘のいい人だと、1~3は出来てるのに4だけ対処法2になっちゃってるとか、1と4は出来てて2と3が~・・・とか色々組み合わせは違うけど、全問正解というのはめちゃくちゃ少ないです、これも1~4まで全部合ってたらもう天才です。
ということで、めちゃくちゃ難しいということは理解していただけたと思うのですが、じゃあ不可能か?といえばそうじゃないです。
つまりはここまで書いてきたハードルを超えられるのであれば、独学だろうと短時間の練習であろうと効果はしっかり出ます。
運が良い/めちゃくちゃ要領がいい
- ネットの動画見て毎日ちょくちょく練習してたらめっちゃ歌上手くなった
- ボイトレ本を買って毎日ちょっと練習してたらめっちゃ声出るようになった
みたいな話は時々見かけますが、そもそもこの内容が嘘である可能性と、これを書いている本人が想定しているレベルが著しく低いという場合を除けば大抵は真実だと思います。
つまり確かに独学で、毎日少しの練習でも、劇的に変化・成長する人は存在するということです。
パパっと上手くなる人とそうじゃない人は何が違うのか?
それは上で書いたハードルが越えられてるかどうかの違いだけです。それ以外に要因はありません。
例えばAさんはネット上の動画やサイトの練習方法を独学で実践し、効果が出たという場合
- たまたまAさんに必要な練習方法が紹介されていて
- たまたまAさんがそれを実践し
- たまたまAさんがそれを上手くこなせていた
ということです。
別にAさんの喉が特別優秀だったとかそういうことでは全くないです、たまたま短時間/短期間で成長するために必要なハードルを超えられていたというだけです。
この偶然の連続、つまり大げさにいえば奇跡的な状態が本当にたまたま起こる場合と、なんとなくそれを察知できるめちゃくちゃ要領のいい、勘の鋭い人というのも極稀にいて、そういう人も全ての選択が良い方向に転ぶということはありえます。
ただし全体の10%以下の割合(体感では)
ボイストレーナーをしていて、本当に極稀にそういうクライアントさんがレッスンを受けに来ますが、今まで5年ほどやってて出会ったのは片手で数えられるくらいの人数です。
というかそもそも独学でそういった成功体験をしている人はボイストレーニングを受けてみよう!とは思わないでしょうから、少なくて当然かも知れません笑
また初めの頃はこの10%の中にいても、徐々に進む方向がブレてくるというパターンの方が多いです。
まぁ当たり前ですね、今まではたまたま必要なハードルをクリア出来てても、成長するにつれハードルは変化するわけなので、同じことをやってても成長は止まるし、新たに必要なトレーニングは今までとは全然違うものかもしれませんから。それに1人で対応していこうとするのはかなり難易度が高いです。
独学でボイストレーニングの効果を上げるには
短時間の練習では無理
上で書いた成長するために必要なハードル
- 自分の喉の徹底的な現状把握
- その現状に一番必要かつ有効なトレーニングの見極め
- 2のトレーニングをハイレベルなクオリティで実践する
この内どれが欠けてもダメなんですが、これを独学でカバーするのは無理があるので、全ての項目で狙いを広げる、そしてレベルを下げる必要があります。つまり
- 自分の喉をやんわり把握
- 現状に必要かな?というトレーニングを出来るだけ多く挙げる
- 2のトレーニングを出来るだけ多く実践する
こうなります笑
狙いすまして一撃を加えられないのであれば、もう下手な鉄砲も作戦しかありません。そして下手な鉄砲を数撃とうと思ったら時間がかかります。
なので短時間の練習で効果を出そうとするのは無理です。手当たり次第の練習をこなして、その中に今の自分に必要なのがあったらラッキーって感じなので、時間をかければかけるだけ効果が出る確立が上がるわけです。
まとめ:時間を無駄にしたくないのであれば・・・
出来るだけ早く効果を出したい!○○までに自分の声をどうにかしたい!という場合は素直に信頼できるボイストレーナーに声を聞いてもらい、必要なトレーニングを教えてもらったほうがいいでしょう。
毎日長時間、ボイストレーニングに割ける、もしくは1人であれこれトレーニング方法を探したり実践してみて、変化が起こるかどうか試すのが楽しいという場合のみ独学のボイストレーニングをおすすめします。