ボイストレーニングのポイントとなる注意点や、抑えておくとより効果的な部分を少し深掘りするシリーズの第3回です。
今回はボイストレーニングの核と言っても過言ではない母音について解説していきます。究極的には狙った母音が狙ったままに発声できれば、声の悩みはほぼ全て解決できるといっていいくらい、母音はボイストレーニングする上では重要です。
そんな母音を、練習する上でどう利用し調節するのか、ケアしてあげるのか、簡単にまとめて解説していきます。
ポイント1:適切な母音を選択しているか
日本語には5つ母音がありますが、それぞれ地声的・裏声的な状態になりやすい/なりにくいという傾向があります。
ただ5つあるといっても、調節次第では無限に音色はあるので、あくまで日本語で一般的に言葉を作る際に用いられる母音の場合です。
それらをめちゃくちゃ大雑把に地声的 or 裏声的という分け方をするなら、ウ・オは裏声的な状態に、エ・イは地声的な状態になりやすいです。アは中庸なポジションと考えていいでしょう。
なので例えば↓の記事のような裏声を出そうとしているのに、母音を日本語でよく使われるエやイ母音で鳴らそうとすると、慣れないうちはかなり難易度が高くなります。
逆に↓のような地声を出そうとしているのに、ウやオ母音で鳴らそうとすると、訓練初期は狙った状態になりづらいでしょう。
どうやっても狙った音色にならない、もしくは音高が届かないといった状態になっている場合、出そうとしている母音は適切かどうか確認してみましょう。
ただ最終的にはどんな音色の発声であっても、その音色を保ったまま母音を発声仕分ける技術は必ず必要になります。
ここで書いているのはあくまで練習の強度を適切にする、もしくは下げる目的ですので、その点は誤解のないように。
ポイント2:狙った母音になっているか
ポイント1で解説したように、適切な母音を選択できていたとしても、それが実際に発声している中で保てているかどうかも非常に重要です。
レッスンであればデモンストレーションを、自主練習であれば参考にしている音源で、発声している母音をよく聞き込んで、それと同じような母音が形成できているかを注意深く聞き返しながら練習してみましょう。
このことを意識する上でも、練習中の録音は必ず必要です。
発声している最中に、自分の母音が狙った状態になっているか、保てているかどうかというのは、訓練初期から中期後半くらいまで、ほとんどの人が正しく判断できません。
録音したものを聞き返したとしても、微妙な母音の変化や歪みには気づけないことがほとんどです。ただだからといって好き勝手に練習しても狙った状態になる可能性も非常に低いため、少しでも成功率を上げるために録音して聞き返しましょう。
ポイント3:無意識のうちに母音が変わっていないか
これはポイント2がクリアできている場合にのみ、ヒントとして役に立ちます。
狙った母音が狙った通りに認識でき発声できていたとして、それが訓練の際の1フレーズ中で維持できているかどうかがポイントです。
例えば、単音で声を伸ばして持続させ、その中で動き(ビブラートやコブシ等)を付けた際に、母音が変化したり歪まないか、スケール練習の際も、母音を変化させることで狙った状態に寄せるということをしていない限りは、基本的にはなるべく同じ母音をスタートからゴールまで保つ必要があります。
ただ母音は声帯の状態や声道の形状に影響しあっているので、音高によってはスタートの母音と最高音の母音は全く同じように形成できない場合も多々あります。
なのでどの程度の変化であれば許容できるのか、できないのか、訓練として効果や価値があるのか見極めるのが難しい場合はボイストレーナーに聞いてもらうことをオススメします。
まとめ:ボイストレーニングの最重要点
冒頭でも書きましたが、母音をどういう風に形成し、それを鳴らせるかというのがボイストレーニングの本義です。
ここで書いたものは本当に超初歩的且つ最低限の母音の知識です。ただこれらを意識しているか、知っているかどうかで練習の価値が大きく変わってくるでしょう。
レッスンではこれらを含めたもっと複雑なことを考えながらメニューの提案をしています。声についてお悩みの方はお気軽にレッスンにお越しください~♪