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【質問回答】裏声の練習をするとすぐに疲れてしまう|疲労の原因と改善

ボイストレーニングTips
Image by Anna from Pixabay

疑問・質問フォームに来た質問への回答記事です。質問の本文はこちら↓

  • 私は裏声のトレーニングをメインに、1年半ほどボイストレーニングをしています。
    扱える音域もかなり広がり、練習でもhiGまでなら苦なく扱えるようになりました。

    しかし、裏声の練習を20分もすると翌日に疲労が残り、高音が出しにくくなります。
    1日休むと回復します。

    普通に歌ったり、地声系の練習では1-2時間程度なら翌日に疲労が残ることはなく

    初めは裏声の筋力が脆弱なため、練習していく内に改善されるだろうと考えていましたが、なかなか改善される気配がありません。

    扱う音域や声の負荷も高くなっているため、仕方ないのかなとも考えましたが、20分程度の練習で翌日に疲労が残るものなのか?とすこし疑問に感じています。

    こういった事はよくあることでしょうか?

    また、木田先生は長時間の練習(1時間程)を推奨してると思うのですが、練習時間と疲労管理についての考えをお聞かせいただきたいです!

こういった発声練習をすると、疲労を強く感じる、もしくは翌日まで残るという症状は結構よく聞きます。

これは訓練初期だとよくあることなのか?徐々に改善されていくものなのか?という部分も合わせて解説していこうと思います。

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回答:1年以上その状態が続いているなら何かがおかしい

慣れない発声状態を探ろうと練習したり、不安定な状態で発声を続けていると、短時間(数分~数十分)で疲労や違和感を感じることは訓練初期にはよく起こります。

ただそれはあくまで慣れるまでの期間です。めちゃくちゃに固着していたり、頑固な癖があったとしても、1年半も状態が大きく変わらないというのは何かがおかしいです。

どういった裏声の練習をしているのかが詳しくわからないため、正確なことは言えませんが、恐らく練習している裏声自体に何らかの問題があるはずです。

この辺りの記事↑を読んでいただき、そもそも練習する意味のある裏声が出せているか?という所から確認してみてください。

裏声は適切に鳴らすことができれば、地声と比べて圧倒的に安全な発声状態です。声帯同士が接地する回数は裏声の方が多いのでその分消耗しやすそうに思いますが、振動体が薄く、接地する部分も狭くなるため、怪我や疲労のリスクは地声の方が大きいです。

そんな裏声の練習にも関わらず、20分程度の練習で、次の日に高音が出しにくくなり、1日休むことで回復するという中々にやっかいなデバフを受けるということは、大雑把な予想ですが『過剰に息が漏れた状態』か『めちゃくちゃ地声の筋肉が関わっている状態』になっているんじゃないかと予想されます。

なのでまずは練習している裏声のクオリティに目を向けてみましょう。出せる音域が広がったとしても、次の日まで疲労感が残ったり、発声しづらくなるのであれば、それは過剰に負担をかけているから高い音域まで鳴らせているだけなのかもしれません。

ここまでは質問文にある内容だけで、ボイストレーニング的に読み解いてみたらというお話でしたが、次にボイストレーニング以外の要素から考えてみましょう。

ボイストレーニング以外での発声に影響されている可能性

日常生活の中で声を出している時間が長いとか、地声を強く大きく鳴らす機会が多いという場合は、そもそも声帯が常時軽い炎症を起こして腫れているという可能性もあります。

そのような状態で声帯を薄く扱おうと裏声を練習すると、上手く調節できなかったり、そもそも鳴らしにくいから余計なテンションを生んでしまうという負のループに陥っているという状態もあるかもしれません。

この場合はボイストレーニングの頻度や時間を調整し、疲労や不調が現れる手前で練習を切り上げ、なるべく声帯に負担がかからない範囲での練習を続けるしかありません。

できれば原因の根本を改善したいですが、ほとんどの場合社会生活と密接に関わっているでしょうから「仕事で絶対大きな声を出す必要があるんですよ~」とか「部活で声出さないとシバかれるんですよ~」ってことがほとんどでしょう。

なのでこの場合は疲労や不調が出る手前までで練習を止めるしかありません。

単純な『長時間の練習』が良いわけではない

練習時間はこの↑記事を読んでみてください。私は1日の中で意識的に創意工夫した発声をしている時間が合計して1時間もあれば理想的だよねと考えています。

なので今回の質問者の方の場合、まず練習内容を見直すのはもちろんですが、練習時間も20分連続で練習すると疲労を感じるということであれば、2~3分の練習を細切れに合計20分程度にするとどうなるのか試してみてください。

脳科学的にはこういった練習の仕方の方が効率的に定着し好転していきやすいので、これにより疲労も避けられるのであれば一石二鳥です。

まとめ:様々な要素が複雑に絡まっているので一概にはなんとも…

  1. 20分程度の裏声練習で次の日に持ち越すほどの疲労が出るのはおかしい
  2. 練習内容や精度に大きな問題がある可能性がある
  3. ただ日常生活での声の使用率によっては、どんなに上手く練習できていても疲労を避けられない場合もある
  4. 練習時間を細切れにすれば疲労は避けやすい

今回の記事のまとめとしてはこんな感じでしょうか。

どんな練習をしているのか、どれくらいの精度が保てているのか、そもそも日常生活の中でどれだけ喉の疲労しているのか、等など考慮すべき点が多いため、一概にズバリ!これが原因でしょう!とは中々言えません。

なので今回解説した部分を少し意識して練習してみてください。それでも改善しないというときはぜひレッスンに来て声を聞かせてください、きっとお役に立てるはずです。