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共鳴腔・声道の操作|暗い音色とこもった不明瞭な音色

参考音源付き記事
Image by Erik Karits from Pixabay

様々なメソッドで喉頭(喉仏)を下げたり上げたりしながら発声するというメニューがあります。

喉頭自体を操作する筋肉を『外喉頭筋群』と呼びます。その中でも特に発声と関わりが深く、柔軟に動かせなければいけないとされている筋肉たちを『喉頭懸垂機構』『喉頭懸垂筋群』と呼んだりします。

これらをなぜ訓練するのかという目的に関しては本当に様々理由があるし、それを解説するにはめちゃくちゃ難しい部分にまで踏み込む必要があるため、ここでは詳しく解説しませんが、できるだけ簡単にまとめてみると

  1. 外喉頭筋の動きによって共鳴腔・声道の形を変えられる
  2. その影響(音響的にも解剖生理的にも)で声帯振動を操作しやすい
  3. 狙い通りに訓練しやすい

といった感じです。つまり様々な効果を狙って喉頭を上げ下げしながら発声する練習メニューを実践していくわけですが、ボイストレーニングのレッスンに行くと「喉頭を下げて発声しましょう」と指導されることが多いです。

なぜそうなるかというと、これも詳しく書くと膨大な文字量になるため、簡単にまとめると、喉頭の位置を下げた発声は裏声の機能を強めやすい・呼び起こしやすいということです。なので地声に比べて裏声の機能が弱い状態である人、つまりほとんどのボイストレーニング初級者は喉頭の位置を下げた発声を処方されるということです。

しかし外喉頭筋を使った共鳴腔・声道の調節によって起こる音色の変化と、それ以外の要素によって起こる変化の違いを知っておかないと、全く狙った部分が動いていない練習になる可能性があります。

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喉頭の操作をした結果、音色が変わった ← が狙い

よくある間違いは上記の順番が逆になっていまっているパターン、つまり何が何でも音色を変えるために、喉頭以外の部分も強く緊張した状態にしてしまうということです。

喉頭の位置を下げて、咽頭や口腔部分が広くなり、その結果作られた音色は暗く深いものになるというのが訓練として正しい過程です。

しかしこれが『暗く深い音色にする』という部分を優先しすぎて『喉頭の位置を下げる』という動作ではなく、舌を喉の奥に押し込んだり、硬く緊張させて巻くことによって、暗さや深さを作ろうとすることがよく起こります。

簡単な参考音源を用意してみました、前半部分が喉頭を下げることによって起こる暗さ・深さで、後半部分はあまり喉頭は下げずに舌を使い声をくぐもらせることによって再現しようとした音色です。

どうでしょう?結構微妙な違いかもなので、もしかしたらあまり分からないという人もいるかもしれませんね。

こうなってしまうと、そもそも狙った外喉頭筋が動かせてない、ということに加えて、それによって起こるはずだった声帯への影響も全く変わってくるため、主に2つの部分で思ってもない動きをしていまっているということになります。

こうなると何も狙い通りになっていないため、練習しても中々状態が好転していくことはないです。

まとめ:『狙い通り』なのはどこなのか

前回書いた記事にも書きましたが、まずは狙い通りに動いている部分を明確しにして、それを繰り返す、それが難しいのであれば、今できていることから狙った状態に徐々に広げていくしかないわけです。

スキルを伸ばすヒント|今できることを広げる
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なので喉頭の位置を操作した発声が難しい、上手くできているのか分からないというのであれば、まずは狙ったことが起こせている発声を確立して、それから少しずつ喉頭を操作しながら、その発声を維持できるかどうか?ということから始めていく必要があります。

ボイストレーナーのクライアントさんが、ご自身の生徒さんとレッスンをしているのを見学させてもらってりするのですが、ボイストレーニング未経験の方にいきなり喉頭操作を盛り込んだ発声を処方しているのを見たりします。

大抵は今回の記事のように意図せず舌を巻き込んだ発声になるので「いきなりそれは難しいだろうなぁ」と思って見ています、後でこの記事に書いているようなことをクライアントさんにはお伝えするのですが、意外と喉頭の位置を変えた状態で発声するこということを、難易度の高い練習メニューだと思っていない人が多いようです。

結構難しいですよ、本当に狙った部分だけを動かして喉頭を操作するのって・・・なので明確にできている部分から探っていきましょう。

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