ここ数年、初回レッスンに来られるクライアントさんの多くに当てはまる傾向として
特定のボイトレメソッドで紹介されている練習方法・発声方法だけを練習している
というのが非常に多くなってきました。
このブログでは常々「ボイストレーニングというのは発声の幅を広げるものだよ」ということを書いていますが、上記のような状態はそれとは真逆になっちゃってますよね。
超最新の科学的に立証されたメソッドのトレーニング方法であっても、何世紀も前から確立された由緒正しい訓練方法であっても、それだけを正解として、それだけを何とかやりこなそうとして練習しても上手くいく人はほんの一握りです。
そういった特定の発声状態(それが効果的だとされる発声だとしても)だけを狙って声を出し続けるということ自体があまり良い結果を産まないし、そもそも狙った発声状態を作られる喉の状態をデフォルトで持ち合わせている人が非常に少ないからです。
そしていつまでの思うような成長を感じられずにレッスンに来られます。
今回はこういった正しいであろう練習方法を実践しているのに成長しない原因と、そこからの改善方法について少し解説していきます。
いきなりですが『めっちゃ大きな声』出せます?
あれこれボイストレーニング的なことは考えないでください。
「大きな声を出してみて」としか書かれてないなら、普段主に出している声の大きさよりも圧倒的に大きな声であればなんでもいいんです。
これがよろしくないボイトレ思考になっていると
- 地声で出すんですか?裏声ですか?
- どれくらいの音域で出すんですか?
- 母音は?
- 喉頭の位置は?
- 音色は?
- 伸ばしますか?スタッカートですか?
なんてことをあれこれ考えてしまうかもしれませんが、そんなことはなんでもいいんです。
「貴方の出せる中で一番大きな声を出してください」
と言われたときにどんな声が出ますか?それが地声で思いっきり張り上げた怒鳴り声のようなものでもいいですし、犬の遠吠えのような裏声でもいいです、もちろんこれらのどちらでもない発声になっててもOKです。
いきなり言われても咄嗟には出せないとか、あれこれ考えて大きな声にならない、喋ってるときと同じような音量の声になってしまうという場合は、喉が相当に萎びてしまっているか、かなりボイストレーニング的ではない思考になっている可能性があります。
これまで生きてきた中では出してない声が必要
発声に関して悩みがあり、ボイストレーニングが必要かなぁと考えているということは、これまでに出したことがないような発声が貴方の喉に対しての栄養になるということです。
超単純明快な「大きな声を出してみて」という指示でさえも、普段の喉の使い方から違った発声状態にならないのであれば、ボイストレーニング用にデザインされた多く発声方法はまともに再現できないでしょう。
そういった状態の人がこの記事の冒頭にも書いたように特定のボイストレーニングメソッドの練習方法だけを真似しようとするとどうなってしまうでしょうか?
そのほとんどがめちゃくちゃに固着を引き起こします。普段使い慣れている喉の筋肉やそれによって起こる動きの中だけで訓練としてデザインされた発声に無理やり当て込めるような状態にしかならないからです。
そうなると「練習しているのに発声能力が向上しない」という状態になり、その半分が「やっぱりボイストレーニングなんて意味ないんだ!歌の上手さは才能なんだ!」となり、もう半分は「このメソッドの練習方法が自分には合ってなかっただけだ!もっと良いメソッドを探そう!」となります。
こういった状態・状況が多くの人には効果的なボイストレーニングメソッドの練習方法が特定の人には全く効果がないことの主な原因です。
改善方法:日常生活で出す声とほんの少しでもいいから違った発声状態を探る
この方法を試す上では「この発声の状態は~」とか「この発声によって◯◯筋が働いて~」とかは考えないでください。
狙いは特定の練習方法に絡んだ中途半端な状態から少しでも外れた発声を探すことです。
これまで練習として出していた発声とは
- 音量
- 音色
- 体感
などが全く違う状態の発声を探ってみてください。これらがクリアできていればどんな声でもいいです。
- 動物の鳴き声の真似
- 機械音や生活音の真似
- 生理的な動作からの発声
トイレで力みながら、寝起きであくびから、伸びをしながら発声してみる
これらはあくまでヒントです、人それぞれに適した発声状態がありますので、上手く出来るかどうかや、思ったように発声できるかどいうことも、まずはさておき丁寧にあれこれ探ってみてください。
まとめ:伸び悩みんでいる人はお試しください
効果的であろう練習方法をやってるつもりなのに、レッスン受けて指導されてるのに、なぜか上手くならないという場合はここに書いたことを参考に、ボイストレーニングとは少し距離を置いて、これまで出したことがないような声が出せるかな?くらいの感覚で喉で遊んでみましょう。
この練習が自分には効くはずだ!とかこの発声が喉に良いからやってみよう!ではなく、単純に出したこともないような音色や音量を作るために喉を使うという感覚です。
良い・悪いではなく、意味がある・ないでもない、出したことがないから出してみる。これくらいシンプルな方法じゃないと中々練習にすらならないという状態の人はたくさんいます。