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【質問回答】ボイストレーニングに筋トレ的な要素はあるのか|負荷や超回復について

ボイストレーニングTips
Image by Łukasz Dyłka from Pixabay

疑問・質問フォームに来た質問への回答記事です。質問の本文はこちら↓(回答まとめページはこちら

  • 疲労の記事を読んでの質問です!
    ボイトレで筋トレ的な要素もあると考えるのは間違いですか?

    フースラーは自由な声を手に入れるため様々な筋肉を鍛えますが、筋トレでは鍛えたい部位の筋肉を追い込み数日休ませるのが基本です(小さな筋肉なら翌日には回復するというのは間違いだそうです)
    ボイトレに筋トレ的な要素があるなら強い負荷を与えて数日かけて回復させる練習方法は効率的に思えました
    楽器の練習のような要素の方が大きいということですか???

レッスンをしていて、練習の頻度に関して質問される際にこういった内容のことを時々聞かれます。

「毎日練習せずに1日おきにやったほうがいいですか?」とか「なるべく短時間で高負荷をかけた練習をしたほうが効果的ですか?」等など、いわゆる普通の筋肉トレーニング的なやり方を応用してもいいのか?ということですね。

今回はボイストレーニングと筋トレの違い・共通点などについて解説していこうと思います。

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回答:筋トレとは違う要素が多い

発声に関わる喉の筋肉と、筋トレで鍛える筋肉の大きな違いは、めちゃくちゃ簡単にまとめると『大きさと目的』です。

筋トレで鍛える筋肉は身体の割合からしても非常に大きく、そして何かしら持ち上げたり押したりという、身体から離れたものを操作することが目的になっていることが多いです。

他方で喉の筋肉は身体の中では非常に小さく、それらの主な目的も呼吸と嚥下・消化という生命維持のために非常に重要な役割を担っています。そんな筋肉を応用・転用して発声しているということです。

つまりそもそも喉の筋肉は、腕や脚などの身体の大きな筋肉と違い、大きい・重いものを移動させるようなこともしないため、疲労させ筋繊維を傷つけその状態で休ませて肥大化させるということをする必要もないし、それができるほど大きな負荷をかけられるような筋肉ではないということです。

加えて喉の筋肉に負荷がかかり回復までに時間がかかってしまったり、超回復を繰り返し肥大化が進んで通常の動作に支障がでてしようようなことがあると、そもそも呼吸と嚥下という命に関わる動作に誤作動が起こってしまう可能性があります。人間の身体はそんなエラーを起こさないようにできています。

なのでボイストレーニングに関しては、強い負荷をかけて練習し、そこから数日かけて超回復を促すといった練習のスタイルはあまり意味がなく、なんなら負荷をかけすぎた練習は大抵の場合、余計な癖や固着を生むことになるため逆効果になる可能性も非常に高いです。

こまめに繰り返す練習のスタイルが有効

やはり練習の仕方や頻度に関しては↑の記事のように、短い時間で良いから集中した状態での練習をこまめに繰り返すというのが一番効率的です。

ちなみに何度も解説している練習の仕方ですが、レッスンに来られるクライアントさんたちを見ていると「集中して」という部分が抜け落ちた状態になってしまっている人が非常に多いようです。

適当にやってもできそうな、もしくは全く狙った状態になっていないような練習をいくらこまめに頻繁にやっても意味はありません。

狙いど真ん中の状態を繰り返す必要はないですが、常に試行錯誤してあーでもないこーでもないという工夫をしながらの練習が必要です。これができていないのであれば、どんな練習の仕方にしても効果は出ません。

まとめ:筋肉の『大きさ・強さ』ではなく『使い方』の練習する

  1. 身体の大きな筋肉と発声に関わる喉の筋肉は、大きさと目的が全然違う
  2. 喉の筋肉は発声のためだけではなく、生命維持のために重要な役割を持っている(なんならこっちがメイン)
  3. そのため万が一にも正常な動作を妨げないよう、身体の大きな筋肉のような鍛え方は適応できない
  4. 身体の大きな筋肉のような鍛え方をしようにも、そもそも喉の筋肉にはそこまで大きな負担はかけられない

質問への回答としてはこんな感じです。

私自身もこのブログやレッスンでは「喉の筋肉を鍛える」なんて言ったり書いたりしますが、この「鍛える」というのは基本的に「使い方を上手くする」という意味で使っています。

筋トレ的な負荷をかけて傷つけて再生させるという意味での「鍛える」ではないということです。

ちなみにですが、↑のまとめの通り喉の筋肉には身体の大きな筋肉のような明確な超回復は適応されませんが、実は筋肉痛は起こったりします。

なので慣れない練習をしていて喉の一部が「なんかちょっと違和感あるな・・・」とか「ちょっと乳酸溜まってる・・・?」みたいな感じがするのは別におかしいわけではないです(程度にもよりますが)。

ただそういった違和感や異物感が1日以上続くようであれば、それは練習によってどこかしらの筋肉やパーツが負傷している可能性が高いので、病院で診てもらうことをおすすめします。