質問箱に来た質問への回答記事です。質問内容はこんな↓感じ。
ということで今回は
- ボイストレーニングをして喉の運動性・自在性は上がってきたけど歌になるとあまり変化を感じられないのはなぜ?
- 発声能力を上手く歌へ落とし込み方・練習
という内容を解説していこうと思います。
まずそもそも歌に落とし込めるほどしっかりとした土台が形成できているか?
ここがクリアできてないとまだまだ発声訓練が必要だという答えになります
質問者の方がどういった状況で練習しているのかが分からないので何とも断言できないのですが、しっかりボイストレーナーについてレッスンを受けていて、発声能力の向上を明確に感じられているのであれば、ここから先に書くことを参考にしてもらっていいと思いますが、そもそも独学で、手探りで練習しているような状況なのであれば、歌に活かせるほどの土台がまだまだ出来ていない可能性の方が高いです。
このブログでも何度か書いていますが、歌を歌うという行為とボイストレーニングとして発声するという行為には大きな難易度の違いがあります、前者の方が圧倒的に難しいです。
なので相当に発声的土台が強固になっている必要があるので、まずはこれがクリアできているかが非常に重要です。
ここを明確にしておかないと、そもそもの発声的土台が弱いから歌うという行為に耐えられないのか、それとも土台は良い感じだけどその上で歌うという行為に慣れていないのかが分からなくなります。
ということで、ここから先は上記のような条件をクリアしていると明確に分かっている方だけが参考にしてください、それ以外の方はトレーナーに判断してもらうなりしてください。
発声上手=歌上手にならない理由
難易度 発声練習<<<<<<歌 だから
例えばある1つの音高を
- 単音で
- 自分の得意な鳴らしやすい母音で
- 自分の出しやすい音高で
- 自分の発声できる限りの長さで
発声できたとしても、曲を歌おうと思ったら
- 長く伸ばす音があったり
- 苦手な母音だったり
- 発声しにくい子音が付いたり
- 苦手な音高から上がったり下がったり
- 息が少なくなった状態で長く伸ばしたり
というようなことが当たり前にバンバン起こるわけです。↑でも書きましたがもう難易度がまっっっっったく違うわけですね。限定されたスケールや単音での発声能力だけでは歌うという行為の上手さは測れません。
なので相当訓練された状態じゃないと上手く活かすもクソもないわけですね~
質問者の方はサッカーに例えてドリブルやリフティングは上手いのに試合に出ると全然という例えをされていますが、それよりももっと大きな違いです。
ボイストレーニング=身体の柔軟性、筋力、体力を向上させるトレーニングでしかないです、それで出来た身体を使ってサッカーというスポーツに必要な動き、つまりはドリブルやリフティングも含まれますが、それらを訓練するのがボーカルトレーニングという感じです。
発声能力を上手く歌に落とし込むための練習
恐らく多くの方は「気持ち悪さ」を感じるはず
ボイストレーニングでこれまでに使ってなかった喉の筋肉を使って発声するという訓練ができているのであれば、その動きを使って歌うということをするのは、恐らくこれまでの歌うという行為と比べて若干の気持ち悪さや綱渡り的な感覚になると思います。
というかそうならなければ、これまで通りの筋肉の使い方、つまり脆弱な筋肉を使い慣れた筋肉でカバーして歌うというレールに乗っているということなので、ボイストレーニングで培った動作が全く起こせていないということになります。
なのでこの「気持ち悪さ」や「綱渡り的な不安的な状態」を目安に練習する必要があります、これを常に感じられるようにして、ボイストレーニングの際に出せている声のクオリティを維持してメロディを歌うというのが主な練習方法になります。
練習方法の紹介
何度も書いていますが歌う方が圧倒的に難しい、やることが多いということなので、歌に落とし込む練習をするのであれば、いきなりそのまま歌うというのはあまりに無謀です。
まずは歌の方をボイストレーニングに寄せて練習してみてください。
- テンポを発声しやすい速度まで落とす
- 発音を1つに絞る
- 1フレーズ毎に発声する
- 安定して鳴らせる音色で練習する
というようなことを意識して練習してみましょう。
テンポを落としてみる
あまりにもゆっくり歌いすぎると、それはそれで声を持続させる時間が伸びるということなので、適度に歌いやすいテンポにしてみてください。
適当に歌う鼻歌なんかをイメージしてもらうと分かりやすいですが、原曲がミドルテンポ以上の曲でも鼻歌で歌うと大抵は自分の歌いやすいようにテンポを落としているはずです。そんな感じで基本的にはゆっくり目に変換してみましょう。
発音を1つに絞る
これは人それぞれ違うので、自分で自由に発声しやすい発音を1つに絞って、歌詞をその発音に全て変換して歌ってみてください。
子音を付けた方が歌いやすい人もいるし、母音だけの方が安定するという人もいます、この辺りはボイストレーニングの時とクオリティに寄せられるのであれば何でもOKです。
これによって発音するという動作によって引き起こされる発声のブレをある程度は防ぐことができます。
一曲丸々歌おうとしない
カラオケに行って練習している方には結構多いんですが、普通に一曲丸々歌ってその曲を練習しようとしちゃってるパターンですね。これはあまりにも無謀&細かい喉の状態に目を向ける余裕が全くないと思いますので、効率の良い発声状態を歌に落とし込む練習としては意味がないです。
できれば鍵盤で一音一音確認しながら、フレーズ毎に区切って練習してみてください。
制御できる範囲で歌う練習
ボイストレーニングの時でも思い通りの声が出せないのに、それよりも不安定になる曲を歌って出せるわけがありません。
恐らく多くの人が理想よりも軽くて弱い声じゃないと歌の中では扱いきれないと思います。これは以前にも記事にしているのでそちら↓も参考にしてください。
まとめ:理想は一旦置いておく
このブログに書いてあるものは基本的に全てボイストレーニングの範疇です、それはもちろんこの記事もそうです。
つまり歌に落とし込むために歌うという訓練はあくまでボイストレーニングであって、ボーカルトレーニングになってはいけないということです。
なのであれこれと自分の理想の声や歌い方というのは一旦置いて、運動機能としてメロディーに沿って発声するという段階が必ず必要です。
そして何度も書いていますが、その段階はそもそも慣れてないことがほとんどなので、気持ち悪さや不安定に感じるものだということです。
ここを頭に入れておかないと、いつまで経っても幻の歌いやすい声やその状態を探し求めてしまうでしょう。しかしそんなものはありません、地道にできることを増やしていくしかありません。