裏声やヘッドボイスと呼ばれる声と、ファルセットや支えのない裏声と呼ばれる声の違いについて、いろんな解釈や用語があって中々統一するのは難しいのですが、今現在私木田の考えている理論と用語で解説していきます。
大雑把には以前に公開したこちら↓の記事の『裏声系筋群を主に使った発声』という項目に書いているので、そちらも参考にしてみてください。
基本的にはどちらも同じ裏声というカテゴリー内の発声
全然別物というわけではありません
最初にご紹介したこの記事にも書いてありますが、基本的に喉には地声を作る筋群と裏声を作る筋群の2つがあります(この書き方も厳密に言えばちゃんとした説明になってなかったりするんですが、まぁそういうものだと思ってください笑)。
そして今回のテーマである、通常よく裏声と定義されて呼ばれているもの
グループ1
- 裏声
- 頭声
- 支えのある裏声
- ヘッドボイス
- ヴォーチェ・ディ・テスタ
- 息漏れのない裏声
- 芯のある裏声
と、それら以外の呼ばれ方をする
グループ2
- 純粋な裏声
- 支えのない裏声
- ファルセット
- ピュア・ファルセット
- 息漏れのある裏声
- 芯のない裏声
などですが、基本的にはこれらグループ1と2は全部ひっくるめて裏声ではあるんです。どちらも地声系の筋群の活動が弱いもしくはほぼないというのは共通しているからです。
そしてその裏声と総称してもよい声をわざわざ分けるのはなぜか?というと、↑で書いた裏声ではあるんだけど、どれくらい地声系の筋群が同時に活動しているかというのが声を出す上ですごく重要になるからです。
裏声/ヘッドボイス=地声系の筋群も動いている状態
メロディーを歌える裏声
音量注意!
地声系の筋群というのは簡単に言えば息をしっかり受け止めようとするアクションをする筋肉ということなので、過度に息が漏れたりはしないということです。
いくつかの特徴を挙げると
- ロングトーンが容易にできる
- 音域の移動が容易に出来る
- 声に動きが付けられる(揺らしたりビブラート等)
- 音量の大小がつけられる
等など、他にもありますが裏声というカテゴリー内でそれ以外と分けるのであればこんな感じになります。
ファルセット/支えのない裏声=地声系の筋群がほぼ動いていない状態
メロディーを歌えない裏声
音量注意!
普通の裏声との違いは上でも書いたように、地声系の筋群がほぼ活動していないというところです。
つまり裏声/ヘッドボイスとは逆で、息を受け止めるというアクションがない状態なので、ガンガン息が漏れるということです。
なので特徴も裏声/ヘッドボイスと逆になります。
- ロングトーンができない
- 音域が呼気圧でしか移動できない
- 声に動きはほぼ付けられない
- 音量の大小も呼気圧でしかコントロールできない
まぁこんな感じです、ほぼできないか物凄い制限がある状態ですね笑
だったらこんな使い道のないグループ2のファルセットっていらなくない?と思うかもしませんが、これがボイストレーニング/発声訓練には非常~~~~に重要なんです。
要素の少ない=純粋な状態
なので『純粋な裏声』
喉の筋肉群の活動としては、裏声系の筋群だけが動いている状態ということで、まさに純粋な/純正の裏声ということです。
喉を開発して声の自在性を上げていくには、喉の動かせるパーツを細かく整理していく必要があります。
細かいパーツを個別に、そして数多く意図して動かせる状態がまさに自在性をもった状態といえるわけです。
そしてそれの入り口、つまりボイストレーニングのファーストステップとしてファルセット=純粋な/純正の裏声が出せるかどうかが非常に重要ということになります。
この純粋な裏声がある程度自由自在に出せないと、それ以上に多くの要素を含んだ声、つまりミックスボイス(声区融合状態)などを出そうと思っても、喉の中がこんがらがって出せるはずもないということになります。
まとめ:ボイストレーニングはじめの一歩
ボイストレーニングって何をどうすればいいか分からない~という人は今回紹介した2つの裏声を出せるか適当に真似しようとしてみてください。
それだけでも今まで使ってこなかった筋肉や意図してコントロールしようとしていなかった部分が徐々に柔軟になってくると思います。
今までさんざんいろんなボイストレーニングをやってきたけど、思うように声が出ない、歌えないという人は恐らく参考音源1みたいな声は出せるという人は多いと思いますが、参考音源2のような声が出せるか試してみてください。
全く出せずに参考音源1のような普通の裏声になってしまうという場合は、喉の使い方がこんがらがってしまっている可能性が非常に高いです。
まずはその混乱を解いていく必要があります、それが出来れば徐々に出したいトーンが出せる土台が出来てくるはずです。
1人では自分の状態や声がわからないという場合は是非レッスンを受講してみてください、初回の体験レッスンだけでもこういった混乱は解消できるかもしれません。