質問箱に来た質問への回答記事です、質問内容はこんな↓感じ。
- しっかり声門閉鎖した発声ができていれば、息が必要以上に漏れずに長く発声できる?
とのご質問ですね、地声の声門閉鎖に関しては案外ブログには書いてなかった?と思うので、この記事で色々と補足して回答しようと思います。
初めに答えを書いておくと、基本的にそういった考えでOKです。
重要なのは『閉鎖』が先か『息』が先かという話し
息ありきで閉鎖をさせているととても面倒な固着を生みます
質問者の方は、これまで腹筋によるブレスコントロールをしてきて、中々効果がでなかったと書かれていますが、重要なのはここだと思います。
いくら腹筋をしてブレスコントロールが上達しても、そのパワーでできた呼気の量と圧力に声帯はほとんど対抗できません。
全てを受け止めようとして思いっきり声帯を閉鎖させても、どうしても呼気の方が強くなります。そうすると声帯をこじ開けるように息が吹き抜け、過剰な擦れあいが生まれ、ダメージを受けてしまいます。
重要なのは声帯が滑らかに触れ合うことができる程度の閉鎖と呼気の量であるということですね。
参考音源程度のプレッシャーで声帯は十分に閉鎖しています
過剰な閉鎖感やプレッシャーは全く必要ありません
質問文にでてきたのはこの↑記事の参考音源のパターン1です。この軽く「ハッ」っといって息を完全に止められるのであれば、地声を発声する際の声門閉鎖としては十分です。
この息を止めるときに「ハッァ”ァ”」みたいな感じでノイズが乗るほどプレッシャーを作ってしまう方もいらっしゃいますが、完全に過剰です、やりすぎなのできっちり音が止まる程度にしてください。
息を口から漏らさないトレーニングも重要ですが・・・
それが目的ではないというのがポイントです
質問文に口の前にティッシュペーパーをかざして揺れないように発声するというのが例として挙げられていましたが、これは過剰な声門閉鎖でもクリアできてしまいますよね。
「声門閉鎖をしっかりして息を漏らさない」というのも目的ではあるんですが、その手前に↑に書いた必要必要最低限の呼気でというのがあります。
あの記事で息を止めた状態からスタートしているのは、しっかりとした声門閉鎖を起こすためというか、その程度のテンションや息の量でも良いんだよと分かってもらうためのツールである側面が強いです。
つまり閉鎖を起こすぜ!という面からのアプローチではなく、必要十分な息を知ってもらうぜ!という面からのアプローチであるということを頭に入れておいていただければ良いと思います。
この一見「卵が先か鶏が先か」みたいな「どっちでも良くね?」と思うような部分ですが、ここ非常に重要です。ここが理解できてないといつまで経っても発声時の悩みが改善されない可能性があります。
それくらい息とその捉え方は重要ということです(呼吸法で何でもかんでも改善するってわけでは全くないです)。
まとめ:閉鎖だけでは説明できないことが山程あります・・・
しっかりとした声門閉鎖が起こっていると息が漏れないと一概に覚えてしまうと、地声ほど声門閉鎖は起こってないけど、口からほぼ息が漏れない且つ持続時間も長い裏声といった声の説明が全くできなくなってしまいます。
口から2~3cm離した位置にティッシュペーパーをかざした状態で発声しても、ほぼ全くティッシュが揺れないこういったトーンの裏声も発声できます。
これは別に強い声門閉鎖があるからではなく、必要最低限の声門閉鎖に、必要最低限の息を流し声帯を効率よく触れ合わせているからに他なりません。
「息が漏れないくらいしっかりとした声門閉鎖を作る」じゃなくて「必要最低限の息で声門閉鎖を感じ、声として鳴る状態を体感する」というのがあの記事でお伝えしたいことなので、ここだけは勘違いしないようにしてくださいね~