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地声と裏声の訓練をするだけでミックスボイスができるのか?

ミックスボイス
Image by Roy Stephen from Pixabay

以前からちょくちょく質問フォームにも来てたり、初回レッスンでもよくされる質問で

  • 地声と裏声はそれぞれ結構鍛えられたと思うんですが、ミックスボイスが出せません。
    まだ地声・裏声を鍛える余地があるのか、もっと必要な練習があるのか?

といったようなことを聞かれます。

私はこのブログでもレッスンでも「融合するための訓練をしないといつまで経っても混ざりませんよ」と回答しています。つまり地声と裏声をそれぞれ分けて訓練するというのは正しいですが、その訓練の延長線上にミックスボイスがあるわけではなく、新たに鍛えられたそれぞれの声区を協働させる訓練が必要だということです。

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真逆の動きをするパーツの動きをそれぞれ強化しただけ

めちゃくちゃ単純化すれば、地声は声帯を縮める動き、裏声は声帯を引き伸ばす動きが基本なので、地声と裏声で訓練するということは、それぞれを訓練するということは真逆の動きをする筋肉たちを上手く使えるようにするだけです。

この真逆を動きをさせる際にそれぞれの動きがごちゃごちゃになってしまっている、声帯を引き伸ばす動きだけをしたいのに中途半端に縮める動きが勝手に入っていたり、逆に思いっきり声帯を縮ませたいのにそれと同量引き伸ばす動きが入っていたりします。こういった喉の状態が混合している状態とされます。

大抵は大なり小なりこの混合が起こっているので訓練の初期はこれらを解消することに注力することになります。

ただこの混合を解消する訓練はあくまでマイナスをゼロにするための訓練です。これをクリアできてやっと本格的な訓練ができる!ってだけなんです。

混合が解消されたら勝手にミックスボイスができるわけではない

多くの方が勘違いしているのはこの部分でしょう。ただただ混合を解消するための訓練なのに、地声と裏声を強化し融合する練習だと勘違いして「これがクリアできたら思い通りに声が出せる!」と思っちゃっているということです。

以前からこのブログでもちょくちょく解説していますが、発声訓練には主に3つの段階があります。

  1. 声区の分離
    地声・裏声で主に使われる筋肉を明確に使い分けられるように訓練する
  2. 声区の強化
    分離段階で分けられた声区をそれぞれ強化する
  3. 声区の融合
    分けられ強化した声区を協働させられるよう訓練する

これに当てはめると、混合を解消できたというのは第1段階の分離が上手くできてきたかな~?ということでしかありません。

なので多少地声と裏声が出し分けられただけで「ミックスボイスができない!」のは当たり前です、ミックスボイスは第3段階の声区の融合ですから。

分離・強化がまともにできていたら融合の取っ掛かりは絶対に得られる

本当に混合が解消されしっかり声区が分離してその状態で各声区が強化できているのであれば、絶対に融合・ミックスボイスの取っ掛かりやそれらの状態の芽は出ているはずです。

きちんと各声区が分けられてその状態で強化、つまり様々な負荷に耐えられる状態になっているのであれば「なんか明確に地声でも裏声でもない状態で出せるっぽい?」と気づきます。きっちり各声区が分けられているが故に、そのどちらでもない状態というのにすぐ気づけるということです。

こういった気づきが全くない、ミックスボイスを出すことが全く想像もできない、地声と裏声を協働させるってなに?という状態なのであれば、ほぼ100%の確率でまだまだ混合が解消されていないか、各声区の強化が全然足りていないということです。

まとめ:シンプルだけど簡単ではない

画一化された知識だけでもって、地声はこの高さまで出せて、裏声をこの高さまで降ろせたらOK!みたいに捉えちゃっている方が多いみたいですが、そんな簡単な話ではないです。

たとえ訓練として効果が出るであろう高さまで各声区の発声ができたとしても、そもそもどういう状態でその声を出しているのか?という部分が抜け落ちてしまっていると全く意味がない所か、練習しているつもりが新たな癖や固着を作っているだけになっていることも非常に多いです。

私自身の経験も含めて、今回メインで解説した発声訓練の3段階を独学や数回のレッスン経験だけで上手く進めている人を見たことがありません。

やはり目標を明確にし練習の効果を安定化させるまでは、ある程度の期間トレーナーの伴走が必要になると思いますので、行き詰まっている方はお気軽にレッスンにお越し下さい。